3つの視点と7つのアクションを組織に落とし込む

 以上のような観点から議論を進めた結果、ダイバーシティ2.0の定義を「多様な属性の違いを生かし、個々の人材の能力を最大限引き出すことにより、付加価値を生み出し続ける企業を目指し、全社的かつ継続的に進めていく経営上の取り組み」としました。ポイントとなる要素は以下の4つです。

①中長期的・継続的な実施と、経営陣によるコミットメント
②組織経営上の様々な取組と連動した「全社的」な実行と
 「体制」の整備
③企業の経営改革を促す外部ステークホルダーとの関わり
 (対話・開示等)
④女性活躍の推進とともに、国籍・年齢・キャリア等の様々な
 多様性の確保

 こうした考え方に基づいて、行動ガイドラインを策定しました。具体的には「経営陣の取り組み」「現場の取り組み」「外部コミュニケーション」という3つの視点と、次の7つのアクションに整理し、組織の中に落とし込んでいます。

①経営戦略への取り組み
②推進体制の構築
③ガバナンスの改革
④全社的な環境・ルールの整備
⑤管理職の行動・意識改革
⑥従業員の行動・意識改革
⑦労働市場・資本市場への情報開示と対話

 3つの視点のうち、最も大切なのは「経営陣の取り組み」です。ダイバーシティ推進のための制度やインフラを整えること以上に、「なぜそうするのか」という経営方針をきちんと整理し示していくことが重要だと考えています。

 企業の皆様とお話ししていてはっきりしてきたのは、ダイバーシティ経営を推進する過程で、短期的にはさまざまなご苦労があるということです。人材育成に伴う手間やコスト、一時的にアウトプットの質が落ちる、従来の多数派の方々の抵抗など、一定の痛みを伴います。ただ、その先には中長期的な企業価値の向上があるので、ぜひ粘り強く取り組んでいただきたいと思っています。

 激変する市場環境や熾烈なグローバル競争の中で、企業がどのようにイノベートして生き残っていけるかという戦略的な発想がない限り、ダイバーシティは実を結ばないものだと思っています。重要なのはやり続けることと、経営トップの強い覚悟です。経済産業省としてもガイドラインを活用し、企業の皆様の取り組みを少しでも後押しするお手伝いができればと考えています。

 日経BP総研では、11月より「働き方改革フォーラム」を開始します。このフォーラムでは、「働き方改革自己診断プログラム」や「従業員意識調査」を実施し、自社の課題を明らかにします。年12回の先進事例研究会で先進企業の戦略と施策を共有し、自社に最も効果的なKPI設定や行動計画が策定できるように支援します。働き方改革を企業の成長に結びつけるための1年間の実践的なプログラムです。

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