ダイバーシティによる効果は、主に4つあると考えています。

 まずは、人材獲得力の強化です。ある調査で、ミレニアル世代に就職先を決める上で「企業の多様性や受容性の方針を重視するか」と質問したところ、男性の74%、女性の86%が重視しているという結果が出ました。今後企業が優秀な女子学生を採用するにあたっては、こうした視点を重視することが必要だといえます。

 次に、リスク管理能力の向上です。均質な人材が集まっている組織では、集団の圧力もあって、異なる意見や反対意見が封鎖されやすくなると指摘されています。これはグループシンキングとも呼ばれ、リーマンショックを生み出した背景の一つだとも後々いわれました。取締役会に女性が1人以上入っている企業のほうが、リーマンショックからの立ち直りが早いというデータもあります。

 取締役会の監督機能の向上という要素もあります。取締役会でダイバーシティ経営の進捗状況や課題をモニタリングしていくことが必要であります。また、経営戦略においては取締役自体も多様性を確保する必要があり、性別や国籍にとどまらず、価値観や学歴、職歴、経験、知見といったさまざまな違いを含めることが有効だと考えています。取締役に女性が多いほど、ROEが高い傾向が見られるという海外のデータもあります。

 最後に、イノベーション創出の促進です。これが最も大きな要素だと考えています。UCLAの実験では、チームの有効性をパフォーマンスの高さで示したときに、ダイバーシティによって非常に高い有効性が出ることもあれば、反対に、最も低い有効性にとどまってしまう可能性もあるという両極端の結果が出ています。つまり、均質な人材で固めたチームの場合、平均点はとれるがイノベーションは起こりにくいということ、また、高い有効性を狙ってイノベーションを起こすことが重要だが、そのためにはチームを活性化する適切なマネジメント力やコミュニケーションも非常に重要になるということです。