日経BP社では、少子高齢化による人手不足や長時間労働是正、生産性向上といった課題が山積する中、企業の成長につながる真のダイバーシティ推進と働き方改革を考えるダイバーシティトップセミナー「ダイバーシティと経営革新」を開催。政府担当者、先進企業の経営層、学識者が登壇した講演の中から、経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室長の小田文子氏による基調講演「ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ」の内容をお届けする。
(文=谷口絵美、撮影=竹井俊晴)

ダイバーシティは企業が生き残るために必要な戦略

 これまでダイバーシティの意義は繰り返し強調されてきました。ここ数年は国を挙げて取り組み、企業の皆様も問題意識を高めて行動しているのは間違いありません。

 そうした中で本日お伝えしたいのは、ダイバーシティはそれ自体が目的ではなく、経営戦略を実行するための手段であるということ。また、マイノリティ保護のためのものではなく、企業が生き残っていくために必要な施策でもあるということです。

 ダイバーシティの現状と課題を見ていきましょう。

 日本企業における就業者の女性比率は43.2%で諸外国と比較しても遜色ない水準まで増えてきています。しかし、管理職の女性比率となると12.5%まで落ち込み、3~4割を占める諸外国の割合を大きく下回ります。上場企業の役員はさらに低く、3.4%となります。

 これまでの日本企業の人材は、日本人の男性で新卒採用、フルタイム勤務で転勤可能といった、均質的なポートフォリオでした。こういった人材を中心に人事制度が構築され、職場のマネジメントも展開されていました。こうした環境は、組織内の意思疎通がスムーズで合意形成も早く、高度成長期にはある意味合理的な選択だったといえます。

経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室長 小田文子氏
経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室長 小田文子氏

 ただ、今は外部環境がめまぐるしく変化し、第4次産業革命はこれまでドメスティックな環境にあったビジネスの多くを激しいグローバル競争に巻き込む可能性を秘めています。人材にもグローバル化を中心とした多様性が求められると同時に、ビジネスの不確実性が高まる中で変化に適応しつついかにイノベーションを起こせるかも重要になっています。少子高齢化も、今後恒常的な人手不足を引き起こす要因です。

 企業には、これまでの均質的な人材戦略を変革し、人材の多様性をいかに確保していくかが求められているのです。