某テレビ局から、子育て中の部下を持つ独身女性管理職の問題について取り上げたいという取材依頼がきました。話を聞いて、私はとっても悲しくなりました。ディレクターは女性でありながら、世の中の「ワーキングママvs.ノンママ」の対立構図を浮き彫りにして、おもしろがっているように見えたからです。私は独身の女性管理職でもしっかりと母性の開いた素敵な女性たちをたくさん見てきました。女性を応援するべき女性が、女性の対立をさらに目立たせるなんて悲しいことです。

制度はセーフティネットであり、福利厚生や権利ではない

 「うちの会社では20代30代のワーキングママたちの時短勤務に対して、30代の独身女性が猛反発をしています。『ワーキングママたちばかり、いろいろ手厚く制度があって、一生懸命会社のために働いているシングル女性には何もないのか、不公平だ』と言うのです。現場でも、彼女たちはワーキングママにとても冷たいし、厳しいんです」

 これも、この前の講演でのある企業の女性活躍推進担当者からの相談でした。女性活躍推進のスタートは女性が辞めない会社になるための、両立支援制度の充実をどの企業も競って取り組みました。制度というのは目立つため、作れば社内外に大きくアピールできます。そして制度が充実した次は制度利用の実績を上げることに走りました。子育てに関して、こんな素晴らしい制度があるから、皆利用してくださいとPRしまくった結果、誰もがそれをめいっぱい使い続けるといった風潮になりつつあります。

 最初は肩身が狭そうに利用していた数名のワーキングマザーたちですが、女性が働き続けるのが当たり前になってきた今、多数派になりつつあります。その女性たちが、両立支援の制度を、あたかも会社が準備してくれたサービスだから、めいっぱい権利を主張してサービスを利用して、子育て中は働くつもりですと開き直る感じになってきてしまうと、これは非常にまずい状態となります。

 ここで一番問題なのは、制度が何のために作られたかが、どこかに消えてしまっていることです。女性活躍推進やダイバーシティ推進で取り組む制度改革は、セーフティネットであることを認識するべきです。その制度を利用しないと働けない人を応援するためです。だから、必要な人もいれば、必要でない人もいます。