正しい形を1つに決めてしまい、それを全員に目指せというところに大きな問題があります。昭和の時代と違って、男性と同じ給料になった女性たちは生活力をつけています。そのため、女性の人生は多様になっています。「結婚して仕事を辞めて家庭に入る」というゴールに向かって女性が焦って走る必要はなくなりました。結婚の時期は20代から30代へと遅くなってきていて、40代50代で結婚する人もいます。結婚しない女性の比率も増加傾向にあります。だから、いろいろな人生状況の働く女性がいていいはずです。働く女性のロールモデルを男性目線で限定してしまうことこそが、女性たちの気持ちを傷つけ、不協和音を作ることになります。

昔はお局、バリキャリ、おひとりさま、そして、ノンママ

 女性にとって、結婚しないで働くという選択肢は、昭和の時代は「結婚相手が戦争にとられてしまった」「家族の事情で結婚できなかった」といった、自分で選んだわけではない場合の方が多かったと思います。しかし、それが、女性が男性と同様の条件で採用されたり、働いたり、会社でも評価してもらえたりするように時代は変わってきています。

 私の世代で専業主婦に疑問を持っていた女性たちは、結婚せずに仕事に生きて成功していく「キャリアウーマン」に憧れました。「私、バリキャリ(=バリバリのキャリアウーマン)です」なんて自分で言うのがかっこ良かった時代もありました。また、そこまでバリバリ働かなくても、結婚せずに独身の人生を楽しむ「おひとりさま」がはやった時もありました。

 しかし、20代30代で独身女性の気持ちは40歳前後から変化が訪れます。私の未来に待っているのは、もう親の介護と自分の老後、そして最終的には孤独死かしら……なんていうネガティブな考えが浮かんでは消えていくようになります。それに更年期が重なれば、不安は増大します。そして、今は部下のワークライフバランスを尊重し、部下を育てることができるイクボス時代、母性いっぱいのワーキングママこそが、管理職として適任で、子供を産んでいない女性は男性と同じだから……といった冷たい視線が浴びせられているように感じてしまいます。自分の不安感のせいで、周りの人につらくあたってしまうという40代50代の独身女性も増えています。