植田 寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

 「会社が女性のためのキャリア研修を企画して、すべての女性たちが集められました。その中で、『先輩の女性管理職たちの話を聴く』というコーナーがあり、ワーキングマザーの女性管理職たちが数名登場しました。私の元上司もいました。彼女は40代後半ですが自然体でとても素敵なワーキングマザーの管理職です。私たち20代30代前半の女性たちにとっては、まさに私もあんなふうになりたいというロールモデルで憧れでした。だから、私は、元上司と研修での再会がとてもうれしかった」

 これは、金融機関に勤める30代の女性の話です。彼女は20代後半で結婚して数年が経ち、30代になり、そろそろ子供を持つタイミングを思い悩んでいました。だから、彼女にとってはこのキャリア研修は自分の人生を見つめるためにもとても有意義だったようです。ところが、グループディスカッションで雰囲気が変わります。

 「その後のテーブルでの共有ディスカッションの場面では、微妙な空気になって困りました。6人席のテーブルの半分が20代30代の結婚を控えている独身、結婚しているけれど子供がいない女性でした。後の半分が30代後半から40代で独身の女性たちでした。彼女たちは、なにか不機嫌、不満そうになっていて……話が全くかみ合いませんでした」

 どうやら30代後半から40代の独身女性たちにとっては、苦痛の時間となってしまったようです。彼女たちはディスカッションでどんな発言をしたのでしょうか?

「会社の女性管理職のロールモデルは、結局ワーキングマザーってことなのね。じゃ、恋人がいなくて結婚予定のない35歳を過ぎている私は、その資格はないってことなわけよね」
「あなたは30代だからまだ可能性はあるじゃない。私なんて40歳過ぎて独身よ。子供だって産めないかもしれないし。会社の考え方からいえば、私は働く女性としてはロールモデルではなく、落ちこぼれや反面教師ってことよね」

 これは、実際の彼女たちの声です。私は胸が痛くなります。昭和の時代がよみがえります。昭和の時代、女性は25歳くらいまでに結婚して家庭に入るのが当たり前、30歳過ぎてまで独身で働く女性は、結婚できなかったから働き続けているオールドミス、お局などと言われて肩身が狭かったあの時代です。