植田 寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

・木に実った赤いリンゴの中に混じる、腐った黒いリンゴ
・高速道路を走る車の中で、のろのろ走るポンコツカー
・工場の中に並ぶ機械で壊れて手のかかるエンジン
・部屋を飛び回る害虫の蛾
・恐竜の卵

 これは某企業の中間管理職(課長級)向けの研修で、悩ましい部下をイメージして絵にするワークで毎回のように登場する「年上の部下、シニア部下」の絵の例です。

 見るとかなり衝撃的で悲しくなるような絵です。今回も6グループのうち2グループがこのテーマを選びました。ほかは、「モチベーションの低い部下、愚痴ばかり言う部下、心を開かない部下、自分勝手な部下」といったテーマでした。

 今回の研修の管理職たちの年齢は、30代半ばから40代半ばです。私はこの企業での研修を約10年、年間4〜5回やっています。5年ほど前までは「女性の部下」をテーマにするグループが必ずありましたが、最近では女性の部下を悩みとして取り上げるグループはほとんどありません。その代わりに、この3年ほど圧倒的に毎回登場するのが「年上の部下、シニア部下」になっています。役職定年、定年後の再雇用が当たり前になった今、当然といえば当然の話です。

 私はこの10年、女性活躍推進をテーマにとした女性を応援する研修や講演を全国で数多くやってきています。そして、20代から40代の女性たちは自分たちの可能性に気づき、イキイキとたくましく働いている人たち、働き続ける人たちが増えました。そういう女性たちは、このまま50代に突入しても、大丈夫かなと感じます。

 一方、それに比べて50歳以上の男性たちを見ると、本当に心配になってきます。特に非管理職のまま50代に突入した人、50代半ばを過ぎて役職定年を迎えた人、60歳の定年後のシニア再雇用で働いている人たちのモチベーションが低いし、低すぎる人が多いと感じます。また、モチベーションは高くても、過去の栄光のプライドが捨てられず、自分よがりにやりたい放題で、周りからは疎まれている人がたくさんいます。役職定年や、過去に大活躍した再雇用の方などは、こちらにあたります。

 今年あたりから、女性活躍推進から「働き方改革」へと舵取りをしている会社をたくさん見かけますが、そういう中でのお荷物になっているのも彼らのように感じます。昔は早期退職制度などを奨励して、50歳以上をソフトにリストラをすることもできたでしょうが、一億総活躍の時代では、社員全員が65歳まで会社にいる可能性があるという前提にしなくてはなりません。だからこそ、50歳からの素敵な働き方を個人が見つけるとともに、会社がそれを導くことが重要です。