「ごめんなさい。役員からの電話が入ってしまったので、次のお座敷に行かなくてはならなくなりました。植田先生、申し訳ありませんが、私はここで、失礼させていただきます」

 ある会社での女性研修の後、事務局メンバーとの食事会の席で、21時過ぎに携帯電話の着信があり、女性部長が慌てて席を立っていきました。近くで食事会をしている役員から、合流するように呼び出されたようです。彼女は40代後半で、その会社で最も活躍し、評価されている女性部長です。独身だけれど母性全開で、女性部下にも男性部下にも慕われています。本当に経営幹部にまで上ってほしい女性です。でも、彼女がそそくさと席を立っていく後ろ姿を見ながら、私はちょっと寂しい気持ちになりました。

昭和な「飲みにケーション」「仕事ゴルフ」がまだ重要ですか?

 「彼女たちは、支店長候補の素晴らしい女性たちですよ。皆、男顔負けの酒豪ぞろいで、中にはゴルフの腕がなかなかの者もいます。本当に周りの男たちに見劣りしませんよ。ぜひ、彼女たちには、さらに上を目指してほしいんです。だから、応援してやってください」

 こちらは、某地方銀行の男性取締役の言葉です。彼は私と同じ57歳という年齢ですが、女性社員の活躍に本気で取り組んでいる素晴らしい方です。しかし、ご本人は「飲みにケーション」が大好きな昭和DNAの持ち主でもあります。本人は全く悪気なく言っている発言に、私はこれまた残念な気持ちになります。昭和な男性にとって、会社でのキャリアを上っていくためには、仕事での実績もさることながら、「飲みにケーション」と「仕事ゴルフ」は必須のアイテム、大事な階段でした。その階段が今も、しっかり存在しているように見えたからです。

 実際、お酒を注ぎ合い、豪快に飲みまくり、盛り上がりながら仕事の話をし続ける彼女たちとの食事会は、普通の女子会とは違っていました。ある独身の女性管理職は、週3回以上同じく独身の女性部下と飲んでいて、週末も一緒にゴルフざんまいだと言っていました。一瞬、私はオヤジ集団の中にいるような錯覚を覚えました。

 私の周りには、私と同年代で経営職の男性の友人たちがいます。若い頃と変わらず毎日のように飲みにケーションと、週末の仕事仲間とのゴルフを頑張っています。皆、メタボ体形になっているのですが、「休肝日なんて、風邪をひいたりしてよっぽど体調が悪い時だけだよ」とか、「今まで肝臓で仕事してきたんだからな!」と飲み続けていることを自慢げに話します。

 また、仕事仲間とのゴルフが、親睦を深め信頼関係を築く最高の手段だと信じ続けているため、ゴルフをやらない私に「ゴルフをやれば、もっと人脈が広がる。もっと仕事が増える」と何度となくアドバイスもしてきます。

 数年前は気にならなかった彼らの意識、態度ですが、私は最近とても気になってきました。こういう経営陣が、女性管理職の昭和オヤジ化に多大な影響を与えているに違いないと。また、「働き方改革の時代」では、「仕事飲みにケーション」「週末の仕事延長線上のゴルフ」は、昭和を引きずる悪習慣のように見えます。