更年期が精神的なストレスに追い打ちをかける

 「気が付けば50歳過ぎていました。もう、私に残っているのは親の介護と、自分の老後の不安だけ。楽しいことなんて、何も残ってないですよ」

 「母親が倒れてしまいました。兄弟はいますが、皆、家庭があり子育てで本当に大変そう。『一人で自由に生きているおまえが親の面倒見るのが当たり前』と言われて何も言い返せなかった。私の未来は暗いです」

 「仕事の忙しさは変わってないんですけど、何しろ体調が不安定。更年期のせいかと思いますが、気持ちも滅入ってしまい、悪いことばかり考えてしまいます」

 これは、私の研修で女性たちが悩みを共有する場面。アラフィフの独身女性グループの会話です。

 実は、アラフィフ、50歳前後というのは女性の身体的にも大変な節目です。更年期の症状が一番大きく出てくる時です。ホルモンバランスが崩れた状態というのは、体験しないと分からないかもしれませんが、私の場合も50歳前後は真冬でも体温が上がり汗でびっしょり。顔はほてり、お風呂上がりのようにのぼせた状態が仕事中も突如やってきます。集中力は落ちるし、精神的にもかなり不安的になりました。その期間は4年くらい続いたように思います。この更年期は、感情の動きが増幅されます。しかも、気持ちが不安定になったり、ネガティブなことを考えたりします。

 「生涯現役時代」になった今、キャリアは上り続けて終わるのではなく、50歳からは平たんになり下っていく下山が続きます。それを知らない昭和軍隊世代の男性たちは非常に戸惑っていますが、それ以上に、昭和バリキャリ独身女子たちは混乱しています。

 「私の人生はこんなはずではなかった」「命を懸けて、体を張って働いてきたのだから、会社が一生自分を評価し続けて、幸せにしてくれるはずだ」。全てを捧げるという意味では、企業戦士の男性以上にやってきた自負があるかもしれません。だからこそ、今の働き方改革の変化を受け入れられない。ワーキングマザーの活躍を応援する風潮を受け止めきれない。それを受け入れてしまうことが、自分の人生の否定になってしまうような感覚です。そんなショックを受けている状態が更年期で増幅されて、大きなストレス状態に陥ります。

アラフィフ女性たちの姿が後進の女性たちに与える影響

 「初女性部長、役員からも声をかけられて食事とかゴルフとか行っている姿はすごいなと思うけど、ああなりたいとは全然思いません。今、私は40代前半で課長ですが、ワーキングマザーだし、ああならないと部長になれないなら無理ですね。あの姿にはなりたいとも思わない。今のままでいいです」

 「若い男性にはすごく優しく接しているのに、私たち20代・30代の女性には当たりがキツい。言い方も嫌味な感じだし、ちょっとしたことでヒステリックに怒って、いたるところに地雷を置いていて困ります。昭和な男性上司たちよりも接し方に気を使います」

 「バブル世代を体験しているキャリアウーマンな先輩たちは、金銭感覚がすごい。独身女性の先輩たちは、マンションに車、ブランドのバッグを持っているし、高級レストランをよく知っています。生活レベルが高すぎてついていけません。でもローンとかすごそうですけど……」

 自分たちは働く女性の最前線を走っているパイオニアだという自負を持って頑張ってきたアラフィフ世代の女性たち。特に独身で頑張ってきた女性たちは、自分が染まった昭和DNAから抜け出せていない人が多いようです。後進の女性たちは、そんな先輩たちを冷静な目で見ています。