こういう昭和バリキャリ女子たちは、男性上司からは「君は男に引けをとらない」「女にしとくのはもったいない」「男以上に男らしい」といった褒め言葉(?)、男性社会の中での「紅一点」というポジションを持っていました。働き続ける女性が少ないなか、本当に特別な存在でした。ついこの前までは……。時は30年流れて、今、昭和バリキャリ女性は45歳~55歳。アラフィフとなりました。

 彼女たちを取り巻く社会背景はすっかり変化しました。女性は結婚しても、子供を産んでも働き続けるのが当たり前です。さらにワークライフバランス、働き方改革の時代です。仕事だけでなく人生そのもののバランスを大切にしながら、働くことが是で、長時間労働は悪とさえ定義されました。30代・40代のワーキングマザーの管理職も珍しくなくなってきた今日この頃、昭和バリキャリ独身女子を取り巻く空気は全く変わってしまったのです。

気がつけば、男性以上に昭和DNAがべっとり

 「部下がパワハラを訴えて、これが2度目だから管理職を降りるように言われたわ。私は部下のためにちょっと強めに注意しただけ。全員が言っているわけでもないのに。訴えた部下の言うことをうのみにするなんて。私のほうがずっと長く会社に貢献してきたのに、何も分かっていない。本当にひどい会社。会社を信じてやってきて、まったく馬鹿をみたわ」

 これは、50代の知人女性の声です。

 営業職で30代・40代の時に成功体験が続いたため過剰なまでの自信と高いプライドが築き上げられてしまったようです。自分のやり方でやっていれば間違いないという考え方とメンバーへの接し方は、昭和な軍隊の隊長そのものでした。そんなやり方だと組織で働くうえでどうかと思い、10年くらい前に、友人として声をかけたこともありましたが、当時絶好調だった彼女は聞く耳を持ちませんでした。そして案の定、最悪の状態に陥ってしまったのです。しかし、そこでも彼女は自分を被害者だと思う気持ちが強く、省みることができないようです。

 昭和は滅私奉公の時代でした。プライベートを犠牲にして、長時間労働で大量の仕事をすることが素晴らしい兵隊の証でした。そうやって業績を上げていけば、会社は評価をし、昇格と昇給をしていったのです。

 しかし、自分を否定するような処遇に合った瞬間に、滅私奉公をしてきた人生は、自分の意志ではなく会社にやらされた、会社の犠牲になったという恨みに転じています。自分の人生は自分で選んできたはずなのですが。

 男性の企業戦士の多くは、滅私奉公をしつつも既婚者で家庭を持っている。しかし『昭和バリキャリ独身女子』は仕事をとったら何もないという人が多い。だからこそ、仕事や会社での肩書、立場に強い執着のある人が多い。会社の仕事、会社での人間関係が人生のほとんどを占めているため、会社人生が自分のアイデンティティの全てとなってしまいます。それが揺らいだり、失われたりすれば、自分の人生が全て否定され、無駄になったような気持ちになってしまいます。

 どの会社でも当たり前になりつつある、世代交代のための役職定年や人事異動などで突然、心の糸が切れてしまい、精神的に病んで休職したり、会社を突然辞めてしまったりする人もいます。