植田 寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

A子さん「聞いてくださいよ! 私の直属の上司、絶対おかしいですよ。この前、仕事のことで話があるって呼び出されて『君は他のメンバーに比べて残業時間が少ない。他のメンバーから不満が出ている。もっと働いてほしい』って言われたんですよ。今どき、上司が残業を奨励するって、どういうことですか」
B子さん「それって、絶対におかしいよ!」
C子さん「長時間労働を推奨するなんて、そんなのダメじゃない」
A子さん「だから、私ははっきり言い返したけどね。『私は仕事を怠けているわけではないし、残業してないことを注意されるのは、おかしくないですか』って。そしたら、でも他のメンバーは残業して働いているしとか、グダグダ言い出して。いったい、どういう視点で部下のことを見ているのか。この上司はもう信用できません」
Dさん「そう、それは、確かに君の言うことは正しいわけだが……。まあ上司もいろいろと……」
A子さん「いろいろって何ですか?」
Dさん「いやいや……」

 この会話は、ある企業のダイバーシティ講演での4人テーブルの風景です。Aさん、Bさん、Cさんは入社3〜5年の20代肉食女子。Dさんは50代の事業部長です。私はこの10年、いろいろな企業でダイバーシティ・女性活躍推進の講演をやっています。その中でも『「女性が拓く会社の未来」〜カギを握るのは男性上司〜』という3時間半の講演を200回以上はやってきています。

 昭和な軍隊型組織から、平成時代のダイバーシティな組織にならないと会社の未来はなくなるし、そのために女性の活躍が必須になること、そんな内容の話です。ある意味、昭和育ちで自分のキャリアを積み上げてきた男性経営陣や管理職にとっては、自分が昭和から今の時代に変化、というか進化する必要があるということを嫌と言うほど体感していただくプログラムです。

 昭和育ちの40代50代の男性経営陣や管理職の意識改革が目的のため、当初は男性だけを集めての講演ばかりを依頼されました。しかし、当事者である女性が不在状態では、本当の意味での意識改革は難しく、そのために女性部下も参加するという形を私から企業に推奨し、ここ数年の定番の形になりました。

 また、意識改革をするためには、講演を聴くだけではダメで、参加者が自分の本音をさらけ出すこと、そしてお互いに共感し合うことが重要なポイントです。そのため、机の配置は共有しやすい4人グループの島型レイアウトにします。

 女性比率が少ない会社は、男性管理職3人に対して女性部下が1名という場合もありますが、男女が半分半分のこともあります。不思議なことですが、男性は男性だけで集まっても、心を開いて本音で話すことはなかなかできません。しかし、そこに1人女性が入るだけで、男性の表情は優しくなり心は緩みます。さらに、女性たちの本音を生で聴くことにより、男性は本当に大きな気づきが得られます。