昭和な上司たちを見る、肉食女子たちの鋭い観察眼

 「昼間いつも寝ているんですよ。うちの部長。しかも『俺は昼間寝るのが仕事。なぜなら、俺は夜お客さんとの飲みにケーションでがんばらなくてはならないからな。充電充電』とか言ってるんです。働き方改革の時代に、全くもって時代遅れだと思います」

 「うちの部長は、毎日昼に1時間トイレの個室にこもるんですよね。部下とコミュニケーションするのが嫌みたいです。寝ているのか、読書しているのか、ほかの部署からクレームが入るんですよ(笑)」

 「私は総合職に転換しましたが、うちの男性上司は『お前は総合職なんだから』『お前は女なんだから』と自分の都合のいいように使い分けて私に接してくる。私はコウモリ扱い。信用できないずるい人です」

 「いまだに、女性活躍推進を『女性を女性扱いして優しくすること』だと勘違いしています。だから草食男子には殴る蹴るまでいかないけど、言葉の暴力と怒鳴りまくります。見ているだけでも嫌。軽蔑します」

 「うちの部署なんて、1年で30人のうちの8人が辞めちゃいました。でも業績がいいから上からのおとがめなしで、本人は『また部下が辞めちゃったんだよ』なんてニヤニヤ笑いながらほかの男性管理職に自慢っぽく言っています。最悪です」

 会社に残っている昭和な軍隊隊長たちへの、彼女たちの、ダメダメ目撃談はつきることがありません。しかも、かなり冷静に見ていて、自分の会社の問題点がどこにあるかもしっかり知っています。

肩書が無くなり、ニックネームになったら心全開

 この会社の「男性上司、女性部下研修」ですが、女性たちは元気な20代肉食女子で、直属の男性上司の年齢は45歳以上。昭和を働いてきた世代です。4人テーブルの島型座席で、上司部下は離れて違うテーブルに座ります。

 そして、まずやることは名札の作成。自分が研修中に呼ばれたいニックネームを書きます。例えば、山本さんが「やまちゃん」とかヒロシさんが「ひろくん」とか、自分が一番、素に戻れてリラックスできる名前を書き、胸に張って研修に参加します。研修中はそのニックネームで互いを呼び合い、自分の悩みを話したり、感じたことを共有したりして、席替えを何度もします。

 最初は腕を組み構えていた男性上司のほとんどが、どんどん笑顔になり、穏やかな表情になっていきます。不思議なことに、最初はそっくり返って席に座っていた男性上司も、いつの間にか心を開いて前のめりの姿勢に変わり、肉食女子たちのストレートな言葉を真剣に受け止めています。