本人たちに悪気はないでしょう。しかし、50代後半の管理職の方々が、「定年までの数年、自分たちが幸せなら、それでいい。会社の若い人たちのこと、会社の未来など関係ない」なんて思って働いているのだとしたら、悲しすぎます。そういう彼らの意識、態度は、会社が昭和タイタニック号として沈没していくことに知らぬ間に加担していることになります。

 私はこの銀行は、日本の企業によくある縮図だと思います。ダイバーシティ推進、女性活躍推進、働き方改革に、なかなか踏み出せない、加速できていない会社の多くは、業績もそこそこに維持できていて、50代の管理職の多い会社です。昭和の組織風土のままで今も進んでいます。しかし緩やかに沈んでいく昭和タイタニック号です。では、その会社を立て直すのは誰か?

コテコテの昭和タイタニック号に乗船してしまった
肉食女子たちの悲鳴

 「『結婚しちゃったのか、育休のリスクのある部下にはこのプロジェクトは任せられないから、残念だが君には無理だ』。信じられないような上司のがっかり発言ですよ。もっとも、そのプロジェクトに興味はなかったから、いいんですけどね。でもこの上司を見限る瞬間でしたね」

 「うちの会社の女性は寿退社をしないですよ。結婚、出産の前に、この会社じゃ無理と思って辞めていく。28歳ですが、同期もどんどん辞めています。実は女性だけでなく男性も辞めています」

 「『ちょっとコーヒーを入れてよ。女の子が入れるコーヒーはうまいから』なんて時代錯誤なことを言うオヤジがいるんですよ。しかもカップも洗ってくれといわんばかりに、私のデスクに置いたりする」

 この声は、私が5年ほど関わっている、関西の企業。コテコテの昭和な会社で行われた研修で、20代の女性たちが上げた声です。今年まだこんな話が出てくるのかと思うほど、昭和タイタニック度の強い会社です。業績は順調で、役職定年も60歳までない豪華客船型昭和号といえるかもしれません。乗船している45歳以上の男性たちは、どこ吹く風で、昭和のままの状態で仕事をしています。45歳以上の男性たちは体育会系、「飲みにケーション」が大好きで、昭和的に見れば、勢いのある会社に見えるかもしれません。

 業績もいい中堅どころの会社ゆえ、肉食女子たちは昭和号の実態を知らずにどんどん入社し、どんどん辞めていく。世の中の女性活躍推進と逆行する状況に、私が呼ばれたのは5年前でした。2日間の女性キャリア研修。夜の懇親女子会で飛び出す、彼女たちの悲鳴は、まさに30年前にタイムトリップしたほどの昭和な組織風土への不平や不満。「彼女たちをどんなに応援しても、こんな組織風土ではいずれ辞めてしまうだろう」と思いました。

 私はクライアントにどんどんもの申す講師なので、3年目の研修の依頼がきた時に、「女性だけの研修ではダメです。2日間とも直属の上司と一緒に参加、2日間が無理なら、1日は上司と一緒に参加で、2日目は女性だけの研修とさせてほしい、そうでないと研修をやる意味がない」と強く提案しました。その結果、3年前から上司と部下で半日研修、翌日は女性だけの研修という形になりました。勘違い上司に対する彼女たちの不満は、今もまだまだあるようですが、少しずつ状況は変わっています。