植田寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

「僕は、就職のために400字で1日の出来事をまとめて書くことをしています。毎日書いて、それを母にメールで送って、母が毎日、添削して戻してくれます」

「僕は、紅茶が趣味です。紅茶マスターレベルの知識があります。僕の母は紅茶が大好きで、とても詳しくて、紅茶のカップもたくさんあります。だから僕は子供の頃から紅茶を良く飲んで、母に紅茶のことを教わりました。本当に僕の母は紅茶には…」

 これは、某企業での今年の就職面談での会話です。面接官の女性部長は中学生の娘を持っていますが、まるで娘の同級生のレベルのような、しかも母との関係、母の話をし続ける男子学生に愕然としたそうです。やはり、男性の草食化には歯止めがきかないようです。

深すぎる母の愛、母との絆

「母とはよく話します。二人でレストランにも行きます。でも父とはあまり話しません」

「母とは待ち合わせて買い物も行きます。僕も子供の頃から父とは話してないし、今仕事をし始めても話したいとは思いません」

 これは某省庁の20代後半の独身男性たちに両親との関係を問いかけた場面の返事です。男性の草食化の根本的な原因は、やはり企業戦士の父と専業主婦の母の息子に対する強い愛、しかも少子化の中で一人息子に集中する愛情と時間が、母との絆を深めすぎたからだと思います。しかしながら、これは専業主婦の母親には限ったことではなく、ワーキングマザーが増えてきた今も続いているようです。

 私の友人の40代後半のワーキングマザーは、20歳の息子の成人式の時の自分との2ショット写真をスマホに入れていて、大人女子会で自慢げに見せてくれました。彼女が仕事で遅くなった時に、駅まで迎えに来てくれる優しい息子は、母にとっては若い恋人のようなのかもしれません。そんな彼女の息子も卒業して会社に就職しました。

「息子がね、就職活動始めた時に『オフクロと同じ会社にしようかな~』なんて言ってたんだけど、本当に、私と同じ会社に入っちゃったのよね~、フフフ』

 彼女のとても嬉しそうな笑顔を見ながら、ちょっと質問したくなりました

私「でも息子さん、それでいいの。会社でも家でもお母さんに見張られてるみたいな感じしないのかな? 恋愛とか、恋人だって作れないじゃない?」

友人「うちの息子は、今までもずっと彼女なしなのよ。そう簡単にできやしないわ。大学時代も私は息子と一緒に息子の友達たちとも一緒にカラオケ行ったりして遊んでいたから、息子の友達たちから情報は何でも入ってくるの。息子のことは全部知っているの」

 友人はとても嬉しそうですが、私はちょっと心配になりました。母の愛と庇護を彼が卒業する日は来るのでしょうか?いつか卒業したほうがいいし、たぶん、それは早ければ早いほうがいいように思います。この母息子との関係は、特別なものではなく、今の35歳以下の男性と母とのよくある関係です。

 周りを見回せば、35歳を境に、男性の雰囲気が明らかに違ってきています。35歳以上40代50代の男性とは全く違う。「男らしい」「男臭い」といった言葉が似合う男性を、35歳以下で見つけることが困難です。「男らしい」男性が再び増える可能性、これは極めて難しい世の中の状況です。草食男子が入社して、仕事をして、結婚適齢期になってくる、母の愛と庇護を卒業したらどうなるのでしょう?