植田 寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

Aさん「新婚時代は楽しいけど、今が肝心よ。しっかり夫の教育を始めないと!」
Bさん「本当、新婚時代にやっとかないと、子供ができてからでは遅すぎるのよ! しっかり夫教育よ」
Cさん「そうなんですね。新婚だからなんか尽くしたくなっちゃうんですよね」
Dさん「今から家事分担させちゃっていいんですか?」
Aさん、Bさん「当たり前じゃない。今から夫婦2人で家事も一緒にやることを習慣づけないとね。子供できたからって急にイクメンになってくれたりしないわよ。イクメンになるために家事をできるようにさせておかないと!」

 毎年行っている異業種女性リーダーエンカレッジ(応援)研修でのランチタイムの場面です。Aさんは娘と息子の2人の子供を持つワーキングマザーで、Bさんは息子を持つワーキングマザー、2人とも30代前半です。CさんとDさんは26歳と28歳でこの半年以内に結婚したばかりの新婚さんです。先輩ワーキングマザーたちが新婚へのアドバイスをしているのですが、そのメッセージの鋭さに私は驚きました。まさに肉食女子のワーキングマザーの逞しさをそこで感じました。

 私自身「草食男子」「肉食女子」という言葉を使いだしたのは、10年くらい前からです。2010年に、地銀の人事部長向けに「女性行員の活躍」という講演を依頼された時に、この話をしたところ、半分以上の銀行の人事部長が最近の新入社員はもとより、20代を見ていると、女性の方が逞しく、男性は優しく線は細く幼いという印象があるとのことでした。それから時は流れ、当時20代だった草食男子、肉食女子は30代となっています。女性の30代といえば、もちろん結婚、出産、育児と女性のライフイベントが目白押しの時です。そこで、肉食女子はどんなふうに変化、進化しているかというのを、私は今回目の当たりにすることとなりました。

同期で給料も同じなんだから、家事も分担するのは当たり前!

Aさん「私は会社の同期と結婚したんです。彼は優しい人ですが、お母さんが専業主婦だったせいで、家事は女性がやってくれるものだという感覚がありましたね。だから私は何度も何度も言って聞かせたのよ。
『私とあなたは同期で給料だって同じでしょう。同じように会社で働いて疲れて帰ってくるのだから、家事だって2人でやりましょう。私だけが家事をやるのは、おかしいでしょう』
『2人でやれば、早く終わるし。2人で自由な時間を持てるし楽しいね』
これを徹底的に夫に叩き込んだから、子供が生まれて、今2人だけど、保育園への送りはダンナがやって、お迎えは私の役割。また1人が洗い物をしている時は、1人が洗濯をする。1人が部屋の掃除をしていたら、1人は風呂を掃除するということで、どちらかだけが働いて、どちらかだけが休むというのはしていないわよ。夫はもちろん素敵なイクメンです」
Cさん、Dさん 「すごいですね。よく旦那さんやってくれますね。文句を言わないですか?」
Aさん「最初はちょっとブツブツなんてあったけど、これはね言い方なのよ」
Bさん「そうそう、命令しちゃダメなのよ。男はね。『お風呂いつもピカピカで気持ちいいわ、パパのおかげね』とか、『あなたの料理は美味しいわ』って褒めることはとても重要。洗濯物の畳み方とか、イマイチのこともたくさんあるけど『ありがとうね』って感じでね。何しろ、家事をしっかりできる夫に育てないとね。そうでないとワーキングマザーは成り立たない」
Aさん「私は2人子供いるけど、もう1人か2人産みたいと思っているの。だって兄弟が少ないのは寂しいし、兄弟多ければ助け合って生きていけるし、老後のことも考えるとね。子供の世話にならないと決めておいたって、どうなるかわからないしね。子供ももっと産みたいけど、会社を辞めようなんて思っていない。だって、キャリアをここまで育んで成長してきたんだし、ワーキングマザーが働きやすい職場環境にどんどんなっているしね」

 肉食女子が女性としてのライフイベントをどう乗り越えていくのだろうかと思っていました。数年前まで仕事と育児の両立に苦しみ、挫折してしまうのかと心配をしていた時期もありますが、とんでもない夫を結婚当初からしっかりイクメン教育して、成長し続けています。昭和の世代の女性たちが、人生という丸いリンゴの半分しか食べられなかった、つまり女性としての人生(結婚、出産、育児)か仕事でのキャリア人生を選ぶしかできなかったのに対して、今の肉食女子世代は、人生のリンゴ丸ごとを味わおうとしています。とはいっても、仕事と家事と両立はなかなか大変なはずです。