そんななか、会社の経営層まで上り詰めている人たちのモチベーションが高めです。自分の力で、自分のやり方でここまできたという自負があり、役員定年後の老後の人生も描けているかもしれません。また経営層は若い世代である一般社員との接点も薄く、時代の変化の実感値は低い。

 しかし、上級管理職の事業部長、部長層は違います。経営層と同じ世代なので、昭和な企業戦士のDNAを引きずりつつも、モチベーションはそう高く保っていません。理由は、自分の人生の不安感、そしてもはや企業戦士度が下がり、イクボス度の方が高くなってきている40代の初級管理職(課長、課長代理)との意識のギャップ、イクメン&ワーキングマザー度の高い20代・30代メンバーたちとの意識のギャップを痛いほど感じているからです。

 自分が引きずってきた昭和な人生観、価値観をベースにした働き方、マネジメント、リーダーシップではダメだと気づいてはいるけれど、経営陣が昭和の軍隊の隊長である以上、上司には逆らえない。また50歳を過ぎて今さら自分を変えられないという、まさにはざまにいます。だから、モチベーションがあまり高くない。そういう方々が、私の講演を聴いたら、痛いところのツボを、最大限の力で押された感覚なのかと思います。

昭和タイタニック号の船長を返上するべき時

 だからこそ、私はそのツボを押し続ける必要があると思っています。「働き方改革」は組織風土の改革です。組織風土は、制度が作るものではありません。実は一人ひとりの意識、行動、態度によって作られます。そして、今までの組織風土形成の形は、ピラミッドです。経営陣や管理職の人生観、働き方、組織の在り方を決定づけています。

 男性が企業戦士として、滅私奉公で、身を粉にして、会社命で働き続けた昭和の時代を振り返ってください。インターネットどころかパソコンは無かった。携帯電話だって誰も持っていなかった。長時間労働するしかなかった。しかし、そうすれば、高度経済成長期ゆえに給料も上がり続け、昇格できた。だから給料と昇格というニンジンを前に、がむしゃらに走ることができた。昭和は、今とは全く違う時代だったのです。

 私は、この連載を2010年から続けていますが、今から約2年前の2015年4月に
「第38回 沈みゆく昭和タイタニック号と男性管理職たち」
http://www.nikkeibp.co.jp/atclhco/15/249752/040200001/

を書きました。

 それから2年、残念ながら昭和タイタニック号的な会社組織は、依然として多く見られます。会社全体がそうでなくても、一部の事業部、工場などがまさに「ザ・昭和」という組織になっています。そして、その昭和の組織風土を形成しているのが、昭和人生観を引きずって働き続ける経営幹部と管理職の存在にほかなりません。

 私は57歳という年齢になり、ここ数年、45歳以上の経営陣や男性管理職を対象とした「働き方改革」「ダイバーシティ推進」の講演や研修を多く行っています。その理由も分かります。つまり私たちの世代が、昭和と決別して、今の時代の人生観を持ち、働き方をすることが、会社、組織にとって一番重要なことだからです。昭和タイタニック号の船長ではなく、未来に発展するダイバーシティ&インクルージョン号の船長になるために、私たちには自らのDNAを変えていくほどの覚悟が必要です。