植田 寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

 「私は昭和の時代を否定してはいません、昭和時代の人生観、働き方改革を引きずっていることが問題だと思います。皆さんの会社が本気で『働き方改革』を行うためには、自分自身の中に残っている昭和DNAと決別することが一番重要で……」

 私の講演で会場の半分以上の席を埋める、私と同世代の50歳以上の男性管理職や経営陣は、苦虫をかみつぶしたような顔をしながら、私を注視していました。なかには、もう勘弁してくれといわんばかりの泣き顔のような表情の方も見受けられました。「ダイバーシティ状態に座りましょう」という席替えタイムの時から、不機嫌そうに重い腰を上げていて、そのうえ、周りの人たちと本音の共有、そして、私が連呼する『脱昭和人生観、価値観』に悲鳴を上げる寸前ともいえる表情です。

 最近、ある経済関連団体の会員向け月例会で「ダイバーシティ推進&働き方改革を成功させる組織風土を目指す」という題名の講演を依頼された時に、私が壇上から見た光景です。このタイトルの講演を、今年に入って数知れずやってきていますが、通常は有料で興味がある方が参加ということになるので、女性が多く、またダイバーシティ部門、人材開発部門、労働組合執行委員などの方々が参加されています。

 しかし、今回は月例の勉強会というような位置づけの講演であるため、そのような会の常連の方々、50代以上の男性管理職、経営職が大半であるというのが事前の情報として知らされ、私としては、いささか過激な私の講演にどんな反応をされるのか、ちょっと楽しみでもありました。講演タイトルが興味をひいたせいか、いつもの参加人数を大幅に超える180名ほどの方々が参加されており、半数強がまさに常連の50歳以上の男性。あとの半分が私の通常の講演やセミナーに参加される方々でした。

 私の講演に興味を持って参加された方は、講演の後、積極的に名刺交換にいらしたり、アンケートにいろいろな感想を書いたりしてくださいました。しかし、50歳以上の常連男性の方々はそそくさと立ち去っていきました。彼らはどんな気持ちで帰ったのでしょう。

 しかし、主催者側からはこんな言葉をいただきました。

 「今日の月例会は、とても良かったです。いつもは1時間もたたないうちに帰る人が続出して、最後まで講演を聴く方は少ないのですよ。今日は誰も帰りませんでした。皆さんが熱心に聴いていて驚きました」。