植田 寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

「上司を見てると、ああはなってはいけないと思いますね」
「部長のやり方で何人もが潰れるのを見てきて、人として尊敬できないというか信じられないです。なんであんな言い方を部下に対してできるんだろうと思います」
「結局、上からどう評価されるかが一番重要で部下のことなんか全く心配していません。自分の保身だけの人ですよ」
「昼間すごく厳しい態度で接してくるのに、夜になると飲みにケーションしようとすり寄って来て、それが部下とのコミュニケーションの王道だと思っていますね。上司に酒を誘われる部下は嬉しいのだと思い込んでいます」
「宴会などで酒が入ると、自分の若い時の自慢話と、酔っ払った勢いで説教ばかりで呆れます」
「何しろ、疲れていてボロボロですよね。ああはなりたくないな〜」
「何が楽しくて働いているのか、辛そうな顔ばかりです」

 これは、私が10年間、毎年6回ほど教えている某企業の「モチベーション・マネージメント2日間コース」の最近の受講者である30代の男性課長たちが自分の上司について話す声です。この研修は課長職を対象にした受講推奨コースのため、自主的もしくは上司からの勧めで参加しています。

 10年前に始まったこのコースの最初の5年間の受講生は40代が中心でした。受講生自身は企業戦士で、しかもモチベーションは高めでした。部下を自分と同じようにやる気のある企業戦士にしようと思っている方か、もしくは上層部から受講を勧められて何でこんな研修受けなきゃいけないの?という表情をしている方がほとんどでした。

 しかし、ここ5年ほどの受講生は30代後半の男性が主流です。そして彼らのほとんどが自分自身のモチベーションに悩み、部下のモチベーションにも悩み、大きく課題を持っての自主参加が主流となっています。20名ほどのクラスで、女性が2〜3名入るようにはなってきましたが、それでも全員男性というクラスも多く、私はこのクラスを教えながら、今どきの30代の若手男性管理職の姿の縮図を垣間見ています。

上司は反面教師であってもロールモデルではない

 この10年、私は女性の管理職育成のための女性対象の研修を数多く企業から依頼されてやってきています。30代40代の管理職・管理職候補の女性たちは、目標となるロールモデルも、また仕事を含めた人生の悩みを相談できるメンター(人生の師匠)もなく、悩み、戸惑い、孤軍奮闘しているところを見てきました。