植田 寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

 今年は年明けから、45歳以上の男性管理職向けの研修や講演が立て続けです。受講者の最高齢は私と同年代ですが、私と同じように若い頃は昭和で、管理職になって今のダイバーシティ時代に戸惑っている年代です。

 研修で私が冒頭で伝えるメッセージはダイバーシティ時代の「働き方改革」です。女性活躍推進、ダイバーシティ推進と時代背景とともに変化をしてきましたが、今年はここを強く打ち出しています。組織に滅私奉公の長時間労働型から、自立して組織とエンゲージメントした関係に基づく効率的で高品質な労働型へシフトしていくためには、働く一人ひとりの意識が変わる必要があります。

 嫌々ながら仕事だから仕方がないと思って働いていたり、仕事は仕事と割り切って働いていたりする人にとって、働き方改革は、残業分を時間内でやる単なる効率アップを強いられることとして捉えてしまうでしょう。

 しかし、自分の仕事に対して興味を持ち前向きに取り組んでいる人たちは、この働き方改革を新たなチャレンジと感じるはずです。だからこそ、会社から求められる役割だけではなく、自分自身の「キャリアビジョン」、つまり働く上での自分なりの成長目標や夢、やりたいことが重要です。

 ただし、キャリアビジョンをただ持てばいいということではなく、そのキャリアビジョンと、自分が会社から求められている役割の重なり度合いが重要です。それが重なっていれば重なっているほど、充実感を持って前向きに仕事ができているはずです。以下の図の青丸と赤丸の重なり度合いが重要なのです。

自分のキャリアビジョンが不要だった世代の今は

「キャリアビジョンなんて描いたことなかった。今もないですね。だから僕はずっとイキイキなんて働けてなかったのですね。仕事はつらいものだとしか思っていなかった」
「自分のキャリアビジョンがないのに、部下にはキャリアビジョンを持てとか言っていました。自分自身は考えたこともなかった。これからはキャリアビジョンがないと俺みたいになるぞと言わないと(笑)」
「働きがいは、給料が上がることや地位が上がることだと思っていました。最近は、仕事の後のおいしいビール1杯を飲むためにただ働いています(笑)」

 これらは、45歳以上の男性管理職たちの多くの声です。確かに、私の年代が若い頃は、働くことは会社から求められること(図の青丸)だけの兵役でした。「仕事はつらくて当たり前」「やりたいことができないのが仕事、やりたいことは趣味の時間か、定年になってからやれ」という、つまり個人のキャリアビジョン(赤丸)など持つことは許されなかった時代でした。そして、そのままの意識で定年退職のゴールを目指して、ただ働き続けてきている世代です。しかし、ゴールがなくなった今、自分のキャリアビジョンがないことはとてつもなく大きな不安となっているはずです。