Aさん:「4カ月前に娘が生まれて、生活が激変ですよ。仕事もありますが、家庭のことをしっかりやりたいけど、どうしたらいいか。毎日あたふたしています。奥さんはホルモンバランスのせいかピリピリした状態だし、大変です」

 Bさん:「初めての子供の時は、僕もそうだったよ。妻をどうサポートすればいいのか、自分が何をやればいいのか分からなかったからね。でも大丈夫、すぐに慣れてくるから。子供の成長を見るのは楽しいよ。それに2人目からは楽勝だよ(笑)」

 これは、某企業での課長職層への「モチベーション・マネージメント研修」、初日の朝の自己紹介での会話です。Aさんは30代前半、Bさんは30代後半です。イクメン先輩と後輩の会話という感じです。

 今回のクラスは18人中17名が男性で30代が半数ほど。40代前半くらいまでで子供がいる方も多く、人生の状況もワークライフバランスが大変になってきた世代です。それにしても、朝の自己紹介で仕事のことよりもプライベートな家族の話をする人が多くなったことに、時代の変化を実感します。

 10年以上この会社で同じ研修を担当していますが、最初の頃の男性管理職たちは企業戦士ばかりでした。自己紹介では自分の仕事のことばかり、プライベートな話などする人はほとんどいませんでした。研修が終わった17時過ぎに、会社に戻って仕事をする人もたくさんいました。

 つまり、今の45歳以下の男性はイクメン世代になっているということです。

『一人働き方改革』しています

 Aさんのことが気になったので、声をかけました。

 私:「お子さんが生まれて、生活は変わりましたか?」

 Aさん:「人生観が変わりました。娘が生まれて本当にうれしい。家庭がとても大切に感じます。働き方も変わりました。何しろ、妻をしっかりサポートして育児にも関わりたいので「毎日絶対に19時までに会社を出る」と決めました。『一人働き方改革』です(笑)。部長の目が気になることもありますが、自分に誓ったので実践しています。仕事のやり方もおのずと変わってきました。限られた時間で結果を出さなくてはいけませんから。かなり大変ですが、毎日が充実しています」

 Aさんの返事に、私はうれしくなりました。彼はまさにイクメンの王道を歩き始めています。奥さんも働いているという彼は、子供が生まれる前はかなり残業もしていたようです。しかし、子供が生まれてからはワークライフバランスを大切にするために19時までに退社することを決めて、いろいろな努力をしています。こういう意識こそが『働き方改革』の原点だと私は考えます。