植田 寿乃
キャリアコンサルタント/ダイバーシティコンサルタント

 1月初旬、都心の某ホテルの大宴会場に1200人を超える企業の取締役、人事・人材開発部門のトップや労働組合の幹部の方々が集まっていました。平均年齢は60歳前後で98%が男性、ある社団法人主催の賀詞交歓会的な会での会長の挨拶風景です。

 昭和末期にタイムスリップしたように錯覚する55歳以上の恰幅のいい男性スーツ集団です。女性はといえば、数えて20人ちょっといるかいないか。参加者人数に対して2%もいません。実は、10年前にも同じ組織のこの会に参加しました。その時の会場には女性は5〜6人で、当時40代だった私は窒息しそうな重苦しい気持ちになったことを鮮明に覚えています。

 それから10年、私も50代半ばとなりました。全国行脚をしながら、女性活躍推進、ダイバーシティ推進の研修や講演をやってきて、日本が変化している手ごたえをたくさん感じてきていました。なので、この会へのお誘いが年末に届いた時に、この10年間でこの会もどんなふうに変化しているか、かなり楽しみで、女性活躍推進を一緒に進めている山岡正子先生を誘って参加しました。

 10年前に比べて、会場の雰囲気は……あまり変わっていませんでした。参加している女性の数がまだまだ少ない。檀上では数名の方が挨拶をしていましたが、その中に女性はいませんでした。女性の管理職は育ってきたのかもしれません。しかし、10年経ってもこのような会合に会社の代表として参加できる立場の女性は、まだまだ育っていないという事実、女性活躍推進やダイバーシティ推進が、まだ道半ばであること、スピードの遅さを嫌というほど実感しました。

 某女子大の学長(女性)が「初めて参加しましたが、この風景信じられませんね。男性しかいない」とおっしゃっていましたが、そこに参加した女性たちは同じ感覚を味わったはずです。そして、この残念な驚きこそが参加していた女性、そして私自身が、これからまだまだ世の中に対して「女性活躍推進」「ダイバーシティ推進」において、やるべきことがたくさんあるという役割、使命を強く感じ、決意させる瞬間でもありました。

本音は働き方を変えたくないのでは

 私は研修や講演で関わった企業の経営陣の方々が、ダイバーシティや女性活躍推進について話される場面を何度も見てきました。自分の言葉で語られているなと感心、感動するようにお話しをされる経営陣は増えてきました。しかし、「時代背景の中で我が社としては、取り組まないわけにはいかなくなった。やらざるを得ない」という、頭では分かっていても、本心では懐疑的な気持ちが見え隠れする方もいます。