何が足りないのか人材育成の課題を見える化

──iCDの導入前と導入後で、何が変わりましたか。

原田:社員が自己評価できるようになったことです。こういう仕事ができると自らPRする社員もいます。また、人材育成の課題が見えるようになりました。自分のキャリアが見え、足りないものが分かる。若い社員はスキルアップするために、こういう研修を受けさせて欲しいというように積極的になっています。

松本:経営層に社員のタスク遂行能力の状況を数値で示すことができます。例えば、会議でプロジェクトマネージャーができる社員は何人いるのか聞かれたとき、上級と中級を合せて8人いると答えます。iCDを利用することで、レベル5は5人で、レベル4は3人というように具体的な数値で答えられます。社員のタスク遂行能力と人数を掛け合わせた組織のパワーバランスが見えることで、社内の人材、能力の課題も見えてきます。

──iCDを社内で普及、定着させるうえで工夫したことはありますか。

松本:半期に一度は振り返り面談、年度末には、タスクの棚卸、成果評価・次年度活動テーマ面談、人材育成検討会などをおこない、組織と個人の両輪でPDCAを回しています。
 ただ、年度・半期の接点では現場マネージャーや社員は意識が希薄になってしまう懸念もあります。そこで、体制変更や新規プロジェクト発足などのイベント発生時、日常運用業務等の中で接点が持てるような工夫が必要です。
 例えば、年に何回か組織変更のイベントがあります。iCDを使って異動前と異動後の組織と社員のキャリアパスを対比する資料を作成したところ、社員のキャリアパス変更や異動元の組織のパワーバランスに課題があることが分かりました。
 それを経営会議で示し、内示の際に社員に異動の理由をきちんと説明するように伝えました。異動先で職種が変わるため、いったん仕事のレベルは下がりますが、どうして異動するのか、その先のパスを論理的に説明することで本人のモチベーションも上がります。
 組織課題も対策を打つことができます。経営、ラインマネージメント、社員に常に活用される接点を作りたいと考えています。

原田:私たちはレベルと言わず、タスク遂行力と呼んでいます。松本さんがおっしゃるようにそれまでとまったく異なる部署へ異動することでタスク遂行力は下がりますが、その人の仕事の幅は広がります。また、社員自身が5年後にどのポジションを目指すかを書いたシートを元に上司と面談しています。上司は部下の成長のためにどのタスクが必要になるかiCDを使って説明します。この仕組みは始めたばかりですが、うまく回ればiCDの定着にも効果があると思います。