──エネルギア・コミュニケーションズの場合は、何がきっかけだったのですか。

原田 康則氏 株式会社 エネルギア・コミュニケーションズ 情報システム本部 開発センター所長

原田:当社はITSSのような標準ではなく、独自の仕組みで進めてきました。しかし、それでは新たな時代の変化に対応できないと考え、2014年からiCDの導入を検討し始めたのです。その背景として電力改革などで経営環境が大きく変化していることが挙げられます。中国電力とグループ会社以外に仕事を求め、外販していくにはオープンな市場と戦わなければなりません。外販に乗り出す場合、果たして新技術に対応していけるのか、だれがどんなレベルの知識、スキルを持っているのか客観的に判断できる指標がありませんでした。加えて、会社の弱点が何であり、何を強化すればいいのかが見えにくいIT人材育成システムになっていました。こうした課題を見える化し、新たな人材育成の仕組みをつくるため、iCDの取り組みを始めたのです。

実態に合わせて定義できる タスクディクショナリ

──iCDには業務の辞書であるタスクディクショナリとスキルの辞書であるスキルディクショナリがあります。

原田:タスクディクショナリを使うことで、自社の実態に合わせた定義ができます。実は以前、ITSSの導入を検討した際、ITSSで定義された人材は特別すぎる感じがしたのです。当社の日常業務はITSSのレベルに達しておらず、頓挫した経験があります。一方、iCDはスキルだけでなく、タスクが用意され、これなら当社にマッチすると考えて導入したのです。

松本:当社も同じです。スキルディクショナリは数が多く、これを設計するのは大変なことから優先順位を下げました。iCDに取り組んで分かったことは、研修を受けてもタスクレベルは「知識がある」というレベルに1つ上がるだけです。一方、タスクを使うと、仕事に生かせる能力が上がることが組織のパワーバランスの変化として見え、社員も成長を感じることができます。知識を否定するわけではありませんが、最初にタスクに焦点をあてて設計してきたことは正解だったと思います。

遠藤:現在、60社以上がiCDシルバー認証を取得していますが、ほとんどの会社はタスクから入っています。そして、タスクだけでかなり満足される会社もある。タスクからスキルに移る会社もありますが、タスクだけでも十分な効果が得られ、課題も見つかります。