経済産業省によれば2022年に約37万人のIT人材が不足すると推計されている。ITベンダーが今後も生き残り、事業を遂行し成長していくためにはIT人材の育成が急務になっている。こうした状況のなか、自社の経営戦略に合わせたIT人材育成のために「iコンピテンシディクショナリ」(iCD)を活用する企業が増えている。将来の自社のあるべき姿を見据え、iCDゴールド認証を取得したサントリーシステムテクノロジーの松本道典氏とエネルギア・コミュニケーションズの原田康則氏、そしてIPA HRDイニシアティブセンターの遠藤修が加わり、自社に必要なIT人材の育成、iCD認証の意義などについて語っていただいた(文中敬称略)。

新ビジネスを生み出すセンスある人を育てる

──ITベンダー、IT子会社が変革していくには人材が欠かせません。特にIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの先端技術を担える人材は逼迫するとの予測もあります。IT人材についての問題意識をどう捉えていますか。

原田:中国地方は人材確保が難しい状況です。当社は通信事業と情報事業を二本柱に事業を進めていますが、電力自由化に伴う改革が進むなかで、恒常的に人材が足りません。外部の協力会社も人材確保が難しく、自社内で段階的に育てていくしかありません。IoTなどの新技術を業務にどう取り入れ、どんなサービスを提供していくかも重要です。ITのスキルだけでなく、様々な問題意識を持ち、新しいサービスのアイデアを生み出せるセンスを持つ人材を育てる必要があります。

松本:おっしゃるように技術力のある人、アンテナを張ってアイデアを出せる人を育てなければなりません。IoTやAIのような先端技術を研究するだけでなく、どう自社のビジネスに結び付けるか。ビジネスも先端技術も理解している人を育てる必要があります。人を育てるには少なくとも3年はかかります。いかに先を読み、量と質の両面で人材を育てていくかが生命線になると考えています。

将来への危機感からiCDに取り組む

──社内での人材育成や活用、経営改革に向けて、iCDの導入に取り組む企業が増えています。サントリーシステムテクノロジーではいつごろから取り組み始めたのでしょうか。

松本 道典氏 サントリーシステムテクノロジー株式会社管理部参与(人材育成担当)

松本:2008年からITスキル標準(ITSS)に取り組み、iCDは2010年からです。当社はサントリーグループの機能会社です。場当たり的な人材育成では、3年後、5年後グループの各事業に対して、進化するITで大きな効果を創出すことができないという問題意識がありました。
 そこで、グループが求める役割(人材像)をつくり、社員もそのモデルに向かって成長して欲しいと考えました。社員はみな真面目で仕事を一生懸命します。しかし、面談で将来何をしたいか質問すると、あまり考えていない。将来も社員がIT分野で働いていく上で、どこに目標があるのかを示す必要があります。そうでなければITの技術能力も業務の知識も中途半端になりかねないという危機感からITSSと続くiCDに取り組み始めたのです。