ITpro EXPO 2016 REVIEW

 「5年後に生き残れるITベンダーとIT人材の条件」をテーマに、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が提供する「i コンピテンシ ディクショナリ(iCD)」認証取得企業によるパネルデッスカッションが行われ、iCD導入の取り組みや効果を説明した。

 i コンピテンシ ディクショナリ(以下iCD)とは、ITを利活用するビジネスに求められる業務と、IT人材の能力や素養を体系化し「タスクディクショナリ」「スキルディクショナリ」といった「辞書」としてまとめたもの。IT経営改革推進企業やITベンダーでの採用が進んでいる。iCDには認証制度があり、活用の内容によって6段階に分かれている。

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セイコーエプソン IT推進本部情報化推進部部長 田中秀樹氏

 パネルディスカッションには、iCD認証取得(iCDゴールド)企業のキーパーソンが登壇。iCDへの取り組みについて、セイコーエプソンの田中秀樹氏は、IT人材育成モデルに基づいて人材育成の仕組みづくりをしていると語った。

 「具体的には中期計画を受け、遂行に求められる組織機能と、実現に必要なタスクとスキルを定義し、組織と個人の役割を明確化しました。組織力の強化および個々人の自己 成長支援のためのPDCAサイクルも、仕組みとして整えています」(田中氏)

 旭情報サービスは、かつて社内で各人のITスキルを把握する共通のモノサシがなかったという。スキルアップに向けた課題を大枠でしか示せず、技術者は自分のキャリアパスが見えにくかった。

iCDの情報を活用し経営計画の見える化を推進

旭情報サービス 中部支社技術部長 村瀬成行氏

 「iCD導入後は基準ができた。タスク明確化による業務棚卸しとITエンジニアの自覚が生まれる等、変化しています」と、同社の村瀬成行氏は説明する。

 経営視点でのiCD効果について、サントリーシステムテクノロジーの松本道典氏は、個々の役割が定義、明確化され、中期計画達成に向け組織機能の議論材料ができるとする。組織変更時の組織設計と異動に関し、iCDの情報から、個人と組織でのビフォアアフター比較を提出し、判断材料にした。

サントリーシステムテクノロジー 管理部人材育成チーム参与 松本道典氏

 経営改革持続に必要なものを問われ、村瀬氏は「人材育成を目的にせず、経営計画実現手段にする。マネジメントや現場リーダー、個人、事務局それぞれでPDCAを回す必要があります」と強調した。

 経営計画や中期計画の変化に対し、「必要な組織機能、業務タスク、スキルの定義を柔軟かつ迅速に変更して見える化する」重要性を、田中氏は指摘した。「日常業務でiCDを活用してます。検討中の企業は、可能な限り早い導入がお勧めです」と、松本氏は訴えた。

ITpro SPECIALから転載
【超人材育成 iCDオフィシャルサイト】https://icd.ipa.go.jp/icd/