システム開発大手の新日鉄住金ソリューションズでは、2015年から本格的な働き方改革を進めている。同社の特長は、現場の高い士気を損なわないよう「働きがい」に力点を置きながら総労働時間の削減を実現していく点だ。改革を主導する取締役人事本部長の福島徹二氏に、改革の進捗と現場の実態に即した課題解決のポイントについて聞いた。
(取材=麓幸子:日経BP社 執行役員、文=谷口絵美)

労働時間の削減が目的になると労働生産性が阻害される

――福島取締役は16年4月に働き方変革担当役員に就任したが、これまでの間、働き方変革にどのように取り組んできたのでしょうか。

福島取締役(以下、福島):2016年の下期からは、私が全社の事業部をまわり、当社の「働き方変革」についてのメッセージを伝えています。ポイントとしては全員が当事者意識を持ってやろうということと、「いいところは大事にしながらも、変えるべきところはちゃんと変えていこう」ということ。当社はいろんな分析から、現場の士気が非常に高いことがわかっているので、そこはいい点として大事にしたい。こうした活動方針を踏まえて、施策の方向性を「一人ひとりの意識変革・組織風土醸成」「組織戦」「個別状況に応じたマネジメント」という「3本の矢」で表現しています。

 個人の意識を変えるのはもちろんですが、そうはいっても現場の声を聞くと、個人の力では解決できない課題があります。そこで必要になるのが組織戦です。例えばプロジェクトのリスク管理を組織でしっかり行う、問題が起こったら組織でフォローして、早めに人を投入する、といった対応です。また、個別状況に応じたマネジメントにおいては、いわゆる3K(期待して、機会を与えて、鍛える)も重要です。機械的な一律の対応ではなく、一人ひとりに合った育成型の丁寧なマネジメントが、働きがいを高めるうえでは大切だと思っています。

福島徹二氏
1980年新日本製鐵入社。2001年新日鉄住金ソリューションズへ出向。03年新日本製鐵退社。15年新日鉄住金ソリューションズ執行役員 流通・サービスソリューション事業部長。16年4月 執行役員。同6月取締役執行役員。17年取締役上席執行役員 人事本部長。

――17年5月に米ギャラップ社の調査で「熱意溢れる社員が日本には6%しかいない」という結果が出るなど、働きがいの問題がよりクローズアップされるようになりましたが、福島取締役は以前から働きがいの重要性を指摘していましたね。

福島:私は現場経験が長かったので、この取り組みをするときに、労働時間の削減が目的化してしまうことが一番生産性を阻害するのではないかという直感がありました。

 また、働きやすさやさまざまなKPIが向上しても、これもゴールではありません。優秀で多様な人材が活躍し成長することで、結果としてお客様にイノベーションを含めて貢献し、同時に当社も事業成長する。そういう状態のなかで、「働きがいがあり、働きやすい、魅力的な会社」「一人ひとりが幸せな会社生活を送ること」が実現しているのがゴールだと、いつも伝えています。