企業向けソフトウエアの開発を行うウイングアーク1 s tは、業種の特性上、社員の女性比率は低いものの、男女差のない仕事のアサインや時間よりも質を重視する働き方が浸透。現在はさらなる成長を目指した「ワークスタイル変革」に取り組んでいる。Googleをはじめとする多くの外資系企業で人事部門のトップを務め、今年7月に同社のPeople Success部 部長に就任した吉田善幸氏に、業績好調な今だからこそ取り組むべき課題について聞いた。
(取材=麓幸子:日経BP社 執行役員、文=谷口絵美)

自由に参加できるヒアリングのワークショップで社の課題を把握

――ウイングアーク1 s tでは「Wing Work」というプロジェクト名称で働き方改革を進めているそうですが、取り組みを始めた経緯をお聞かせください。

吉田部長(以下、吉田):社内にどのような課題があるのかを把握するため、昨年7、8月にかけてヒアリングのワークショップを行いました。「多様な働き方」「オフィス環境」「社内コミュニケーション」「女性の活躍」「人材育成、研修、社員の成長」「社外への情報発信、コーポレートイメージ」という6つのテーマを設定。興味のある回に誰でも自由に参加できるようにしたところ、毎回30人程度が集まり、さまざまな要望や意見を吸い上げました。

――どんな課題が浮かび上がってきたのでしょうか。

吉田:主なものは、在宅勤務やフレックスの活用、朝型勤務、時間単位の有給休暇取得といった、柔軟な働き方への要望です。

 当社の場合、長時間労働は課題としては考えていません。部署によって偏りはありますが、平均残業時間も月20時間ほどなので、それほど多くはないと思っています。それよりも、働く時間や場所の選択の幅が欲しいというのが、社員全体に共通している点だと感じました。

 また、当社では女性活躍を働き方改革の一部と位置付けているのですが、そもそも女性社員数が少ないという現状があります。そこで、採用数を増やすためのブランディングをした方がいいという意見や、少しの時間でも子どもを連れてきて仕事ができるような空間が欲しいといった、女性社員が働きやすくなる職場環境づくりへの提案もありました。

――そうした社内のニーズに対して、どのようなステップで解決しようと考えていますか。

吉田:在宅勤務やコアレスフレックスタイムといった制度的なものは、テスト運用の形で今年3月から一部に導入しています。また、社内コミュニケーション活性化の施策として、朝活、夕活も昨年度から始めました。

 朝活は週に1回、7時半から8時半の間に会社で朝食を用意し、朝の時間を有効活用してもらう機会にしています。夕活は定時退社を促す意味も兼ねていて、月に1回、夕方6時から社内の共有スペースでいろいろなイベントを開いています。ここ最近多いのはワイン勉強会。役員にワインに詳しい者が多いので、産地ごとに担当を決めてプレゼンしてもらったり、みんなで試飲をしたりしています。いろんな部門の人たちが来るので交流も生まれますし、「この人はこういう趣味を持っているんだ」ということが分かって、次回その人にイベントの先生役になってもらうという話にもなったりしています。

ウイングアーク1 s t People Success部 部長 吉田 善幸氏
吉田 善幸氏:慶應義塾大学文学部卒業後、本田技研工業に入社。その後、外資系企業を中心に主に人事分野でのキャリアと実績を重ね、アディダスジャパン、Googleなどで人事トップを歴任。QVCジャパンで人事部門バイスプレジデントを務めた後、2017年7月にウイングアーク1 s t People Success部部長に就任。