全国規模の小売店やレストランチェーンに対し、コカ・コーラ社製品のマーケティング戦略を提案する会社として2007年に誕生したコカ・コーラカスタマーマーケティング(以下CCCMC)。この10月、日本コカ・コーラで大手コンビニ、スーパーをはじめ、パートナーシップ企業に対応する営業統括部門でバイスプレジデントを務めた市原政徳氏が新社長に就任した。多様性はコカ・コーラの強みそのものであると考える市原氏に、現状の課題、インクルージョンやオーナーシップを軸とした「より強い組織づくり」への展望を聞いた。
(取材=麓幸子:日経BP社 執行役員、文=谷口絵美)

男性の持つ無意識のバイアスに気づく研修を管理職全員に実施

――社長は主に外資系企業でキャリアを積まれてきたそうですが、ダイバーシティの経営的なメリットをどのように感じていますか。

市原社長(以下、市原):私は日本コカ・コーラに21年間勤めたのですが、コカ・コーラグループの企業は、そもそも全く異なる人間が集まって成り立っている組織です。男性と女性ということはもちろん、異なる国籍、宗教、年齢、他の業界での経験など、様々な違いがありますが、それこそが強みだと思っています。

 私たちが次の時代に進んでくためには、課題解決を繰り返し、イノベーティブなアイデアを生み出していく必要があります。同じ経験やキャリアを積んできた人たちだけが集まる組織が起こすイノベーションと、全く違う経験やキャリアを持つ組織から出てくるイノベーションは、レベルが違うと思います。それが我々の信じるところです。

――そうしたコカ・コーラグループの一員であるCCCMCは、社長から見てどんな組織でしょうか。

市原:CCCMCにはボトラー社(コカ・コーラ社製品の卸売事業や自動販売機事業を担うグループ会社)からの出向社員が多いのですが、ボトラー社というのは完全な男性社会です。そういう環境で長く仕事を続けていると、女性活躍について世間の認識との差が大きい社員も中にはいます。これについては、昨年から、無意識のバイアスに気がついてもらうことやダイバーシティの重要性を認識してもらう研修を管理職、一般職の全員を対象に複数回実施いたしました。こういった取り組みによって、かなりの意識変化が起きていると思います。

コカ・コーラカスタマーマーケティング 代表取締役社長 市原 政徳氏
市原 政徳氏:1986年中央大学卒業。同年P&G ファー・イースト・インク(当時)入社。96年日本コカ・コーラ 人事部入社。2007年コカ・コーラカスタマーマーケティング トレードマーケティング本部本部長 常務執行役員。12年日本コカ・コーラ コマーシャルリーダーシップ バイスプレジデント。13年同カスタマーリーダーシップ バイスプレジデント。17年コカ・コーラカスタマーマーケティング 代表取締役社長。コカ・コーラ ボトラーズジャパン 上席執行役員 キーアカウントマネジメント本部長。

――多様な組織をマネジメントするために、トップとして心がけていることはありますか。

市原:ダイバーシティの次のステップとして、インクルージョンに力を入れなければいけないと思っています。一人ひとりの考え方や経験が全く違っていてもいいのですが、そうした人たちが同じ組織で同じ会社の目標に向かって働くためには、共通の価値観が必要です。