少子化を背景に多くの大学が学生の獲得に苦労しているなか、工学院大学は2017年度の入試において、一般入試志願者が8年連続で増加し、過去最多となる2万人を超えた。特筆すべきは、入学志願者と入学者数ともに女子学生比率が約20%を占めるほどに増加したことだ。女性の技術者、研究者などを育成して社会に送り出し、働き方改革へも貢献したいという佐藤光史学長にその志を聞いた。(取材=麓幸子:日経BP社 日経BP総研フェロー、文=金丸裕子)

入試志願者数8年連続増、志願者・入学者ともに女性は2割に

――工学院大学では一般入試志願者数が8年連続して増えていると伺いました。少子化のなかでどのような工夫をしているのでしょうか。

佐藤光史学長(以下、佐藤):本学は創立131年の歴史のなかで14万人を超える卒業生を社会に送り出していますが、産業構造そのものが大きく変わるなかで、グローバル化と知識基盤社会に対応していくような大学にしていこうと、10年ほど前から大きな改革を進めてまいりました。

 2005年までは、本学は工学部のみのいわゆる単科大学でした。06年に情報学部を2学科体制で新設、さらに10年を経て4学科に増設するまでになってきました。11年に建築学部を新設した時にも、建築学科に加え、まちづくり学科や建築デザイン学科など、社会と連携し、比較的に女性が興味を持ちそうな学科を設けています。15年、先進工学部の新設に際しては生命化学科を開設しました。「生命」というキーワードは、女性が非常に関心を寄せる分野なのです。実際にこの学科は女子学生の比率が4割を超えています。まずはそういう分野に魅力を持ってもらい、他の学科にも広がってほしいと期待しています。国が提唱している超スマート社会を考えると、ソフトなパワーが必要とされており、それに適した人材を育てる取り組みではないかと自負しております。

佐藤光史学長
1955年秋田県生まれ。東京理科大学理学部化学科卒業。東京大学大学院工学系研究科合成化学専攻博士課程満期退学後、国立科学博物館工学研究部第3研究室(文部技官)・理工学研究部を経て、本学に教員として入職。2002年工学院大学工学部共通課程教授、11年基礎・教養教育部門教授、15年先進工学部応用物理学科教授、学長に就任。専門分野は配位化学、材料科学、結晶解析学。

――ダイバーシティが前提の改革が行われているわけですね。学部・学科の再編のほかに、受験・入学を目指す女子学生に発信されていることはありますか。

佐藤:私たちの建学の精神は、社会産業と最先端の学問を幅広くつなぐ「工」の精神にあります。平たく言えば、実践的な力を持って社会でリーダーシップを取れる人材の育成ということになり、男女ともに在学中に自分の将来を見通した人生設計を考えるキャリア教育を充実させています。女子学生に関して言えば、入学式に企業や研究機関で活躍しているOGを招き、入学生に向かってエンカレッジのためのスピーチをしてもらっています。活躍するOGに贈る女性躍進賞も設けています。昨年度は他大学で磁性電子材料などを研究する准教授として活躍している女性に、その前は建築分野で活躍されている女性に送りました。

女性活躍推進賞表彰式
活躍するOGを対象に、女性活躍推進賞を設けている。写真は昨年の表彰式の模様