「現在1兆1000億円の売り上げを2025年に1.6倍にするためにはダイバーシティ経営は必要」とセイコーエプソン取締役執行役員人事本部長の川名政幸氏。女性活躍推進では、厚生労働省の「えるぼし」最高位、「プラチナくるみん」に続き、29年度には「なでしこ銘柄」にも選定されると外部評価を高めている。(取材=麓幸子:日経BP社 日経BP総研フェロー、文=西尾英子)

新入社員の2割は女性に。入社式の代表あいさつは外国人

――あらためて、セイコーエプソンがダイバーシティを進める理由を教えてください。

川名取締役(以下、敬称略):当社では、2016年度から2025年度の10年にかけ、エプソンのありたい姿と向かうべき方向である長期ビジョン「Epson 25」を策定し、その実現に向けて取り組んでいる最中です。具体的な目標として、現在約1兆1000億円の売上高を、2025年には1.6倍の1兆7000億円、ROS(売上高経常利益率)12%を目指すという大きな戦略があります。そのためには、グローバルで多様な人材を確保し、様々な考え方や知見を生かして、その国々・地域に合った販売・製造体制、人材育成を強化していくことが大切だと考えています。

川名政幸氏
1964年生まれ。長野県出身。2014年 取締役人事本部長。15年 オリエント時計代表取締役社長。現在 取締役執行役員人事本部長 兼 CSR推進室長。

――先日の入社式で、新入社員の代表あいさつをマレーシアの方が務めたというエピソードからも、ダイバーシティ推進の姿勢を感じます。「Epson 25」で、国別の売上比率はどのように変わっていくと見ていますか。

川名:現在、製造拠点はほとんどが海外で、売り上げも75%が海外、日本は25%程度です。今後は恐らく南米や東南アジアといった新興国の比率が増えていくでしょう。従業員数もアジア圏が一番多く、全体で7万6000人。3大製造拠点である中国、フィリピン、インドネシアで4万3000人、日本は1万9000人です。

 ご存じの通り、今後もIT化はどんどん加速していきます。エプソンがこれから伸びていく方向としては、サイバー空間と自社製品をどうつなげて価値を出していくかにある。そうなると、やはりグローバルにダイバーシティを展開し、多様な人材を獲得して生かし、良いモノを作っていくことが重要です。

――女性の海外赴任者もいるのですか。

川名:人数はまだ少ないですが、海外駐在の女性社員はいます。今は、女性でも海外に行きたいと手を挙げてくれる人が増えています。当社では、1年以内の海外トレーニングを実施しているのですが、これまで相当数の女性が海外に出ています。

――女性活躍推進では、「えるぼし」最高位、「プラチナくるみん」に続き、29年度には「なでしこ銘柄」にも選定されましたね。

川名:多少高めの目標を設定し、意気込みを持って取り組んできました。もちろん取得自体が目的になってはいけませんが、取り組みを進めるなかでの目標としてはいいのかなと思っています。