ホンダ開発は本田技研工業の子会社第一号として設立され、ホングループ内で必要とされるサービスを事業化することで成長し、現在は福利厚生サービスを中心に多彩なビジネスを展開している。同社の特徴は女性比率の高さと従業員の雇用形態の多様さだ。社長の大野直司氏に多様な人材の力をどのように最大化するかを聞いた。
(取材=麓幸子:日経BP社 執行役員、文=西尾英子)

全社員のベクトルを合わせることが意欲向上につながる

――2015年の社長就任から約3年がたち、改めて自社の女性活躍の課題をどうみていますか。

大野代表取締役社長(以下、敬称略):通常、日本で多様性というと、ジェンダーが挙げられますが、当社の場合、それに加えて雇用形態の多様性という特色があります。約2600人の従業員のうち、正規社員が約400人弱に対して約2200人が契約・パート社員や派遣社員の非正規雇用であり、全体の女性比率は83%にものぼります。様々な雇用形態からなる女性たちが1チームとなって円滑に働いていくにはどうすればいいか。当社は業容も広いため、同じ女性活用でも マインドセットが違う。そこをいかにうまくまとめていくか。ジェンダーと雇用形態という2つの多様性に取り組んでいくことが一番の課題だと考えています。

――ワークスタイルの異なる女性たちがいきいきと働くためには、何が必要でしょうか。

大野:皆さんのベクトルをいかに一つに合わせていくか。我々はサービス業なので、「お客様に喜んでいただくためにはどうしたらいいかを考え、創意工夫をしてほしい」と常々話しています。従業員全員がベクトルを合わせ、モチベーションをひとつにしていきたいですね。

――メッセージはどんな方法で発信していますか。

大野:四半期ごとの社報発行を通じて、あるいは年頭所感のタイミングやQCサークル活動の総評の場などで「“お客様のために”という目線で仕事をしていきましょう」と事あるごとに伝えています。

 また、年2回、国内の7事業所を回って管理職や係長・主任クラスの社員とラウンドテーブルミーティングを行うのですが、そうした場でも、私の言葉を理解し、現場にブレイクダウンしてもらうようにお願いしています。ラウンドテーブルミーティングは、皆さんの意見や現場の様子を聞きながらディスカッションする貴重な機会なので、できるだけ本音を引き出せるように心がけていますね。

ホンダ開発 大野代表取締役社長
1984年本田技研工業入社。93年ホンダ・オブ・アメリカ駐在。98年本田技研工業国際人事部。2000年ホンダ・オブ・ザ・UK. Mfg. Ltd駐在。06年本田技研工業管理本部労政企画部。10年アメリカンホンダモーター駐在。13年ホンダノースアメリカ(オハイオ)駐在。15年ホンダ開発社長就任。