ビジネス環境の「3つのSHIFT」とは?

 今ビジネスの現場では、「経営層の期待の変化」「ワークスタイルの変革」「ニューテクノロジーの台頭」という3つの大きな環境変化が起きています。

 「経営層の期待の変化」とは、経営層が社員に求める仕事の成果のレベルが、ますます高くなっているということです。例えば、少し前まで新入社員は先輩の背中を見ながら時間をかけて、「3年で一人前」になれば十分という風潮が主流でした。また、管理職には部下を丁寧にケアして、着実に成果を出すことが期待されていました。

 しかし、今は明らかに違います。新入社員には一刻も早く本当に戦力になることが強く求められています。そして、管理職には今までよりも少ないスタッフでより大きな成果を生み出す、収益性の高い組織運営が強いられています。

 「ワークスタイルの変革」とは、「働き方改革」というキーワードに代表される、長時間労働の改善、在宅勤務制度の充実、高齢者の就労推進などのことです。出産や育児などのライフイベントに柔軟に対応することや、ワークライフバランスを充実させることが求められています。在宅勤務やリモートワークを推進することで、全員が必ずしも同じ場所で、朝から晩まで一緒に働く必要がなくなってきました。

 「ニューテクノロジーの台頭」とは、 モバイルデバイス、クラウドサービス、ビッグデータなどのテクノロジーが日進月歩で進化していることです。今後はAI(人工知能)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)といった最新技術も、ビジネス現場にどんどん取り入れられていくことでしょう。

「ラーニング・イノベーション」が今こそ求められている

 これら、時代が求める「3つのSHIFT」に合わせて、人材育成のやり方も変わらなくてはなりません。まさに今こそが人材育成の大変革期でもあるのです。私はこれを「ラーニング・イノベーション」と呼んでいます。

 実際に世界や日本の人材育成の現場で、どのようなラーニング・イノベーションが起こっているのか、これから3つの事例を紹介します。

ビジネスコミュニケーションのスタイルを変える

 1つ目の事例は、コミュニケーションをよりロジカルに変えようとする流れです。日本人の持つハイコンテクスト(文化の共有度合いが高い)という特徴が、重要なことを伝えなかったり、言葉が足りなかったりするコミュニケーションを生み出し、仕事の非効率性の一因になっています。これでは働き方改革や生産性の向上を実現することはできません。

 そこで、意図的にコミュニケーションのOSをローコンテクスト(ハイコンテクストの逆)に切り替えられるように、ロジカルなコミュニケーションスキルを習得する研修のニーズが高まっています。