今がベストタイミング

 ビジネス環境がものすごいスピードでどんどん変わってきていることは、皆さんも実感されていることと思います。これは人材育成業界においても同様です。

 環境の変化を敏感に察知するためには、最先端の情報をできるだけ早いタイミングでつかむ必要があります。実は今がベストタイミングです。なぜなら5月初旬に世界最高峰の人材育成国際会議ATD ICE(Association for Talent Development International Conference & Exposition)が米国で開かれるからです。

人材育成国際会議ATD ICEとは?

 ATDは、世界中の企業、政治などの組織における職場学習と、社員と経営者の生産性向上を支援することを目的として活動する団体で、世界100カ国以上に約39,000人の会員を有しています。その規模と活動内容から、人材育成の領域では世界最大かつ最高水準の組織でもあります。

 年1回、毎年5月にアメリカの大都市で開催されるATD ICEには世界中から企業の人材育成関係者やコンサルタント、教育機関・行政機関のリーダーなど約10,000人が参加します。セッションと呼ばれるセミナーや教育プログラムが300以上開かれ、業界関連ベンダーによる出展が数百社以上もあり、文字通り人材育成業界における世界最大のイベントです。世の中にある最先端の人材育成関連情報を一気に収集するには最高の機会なのです。

 私どもアイディア社でも、毎年数名をATD ICEに送り込み、2つの観点から情報収集しています。1点目はベストプラクティスを見つけること、2点目は新しいトレンドを発見することです。

日本では見られない驚くべきベストプラクティス

  1点目のベストプラクティスに関しては、日本国内では絶対に見つからないような驚くべき事例を知ることができます。例えば、China State Gridという世界最大規模の中国の電力会社の事例では、たった3カ月で何百人ものグローバル人材を育て上げ、彼らを全員海外に赴任させるというものでした。

 また、クウェート石油の事例では、原油価格がどんどん下がっていくという厳しい市場環境の中で、社員をスキルアップさせて離職率を減らしながら、同時に会社の利益率を高めることに成功しています。

 IT業界を代表する大企業であるIBMやSAPの面白い事例も紹介されました。両社は次世代のグローバル経営者を育成するために、ボランティア活動を通して新興国の異文化対応を学ぶプログラムを導入して成功しています。

 ここ数年ATDで注目されているKimberley Clark社では、これまでの集合研修主体のやり方から、ラーニングポータルと呼ばれるデジタルデバイスを使用した受講者中心の研修に切り替えて大成功しました。

世界の最新トレンドはこれだ

 2点目は世界の最新トレンドをつかむことです。ここでいくつかご紹介いたしましょう。現在の人材育成の中心は、なんといってもマイクロラーニング。忙しい社員たちのスキマ時間を有効に使おうという取り組みです。

 次に挙げられるのはモバイルラーニング。特に動画を使ってYouTubeのチュートリアルビデオのように分かりやすい教材を作っていくことがポイントです。

 長時間集中することが難しく、飽きっぽいといわれているデジタルネイティブの現在の若者たちを集中させるために、ゲーミフィケーションを取り入れたラーニングスタイルもトレンドの一つです。

 また、教えたことをきちんと定着させて職場で使ってもらい、成果につなげていくラーニングトランスファーも注目されています。

 この数年、とてもホットなトピックスの一つは脳科学の知見を応用した学習システム。脳の記憶回路を理解し、それにそった学習プログラムが作り出されています。

 トレンド紹介の最後は、最新テクノロジーであるARやVR。複雑な内容、普段接する機会の少ない環境や状況で、共感力が求められるようなケースに応用されようとしています。