たとえば遅刻の多い部下がいた場合「遅刻はダメだ」と何度伝えても相手の気持ちは動きません。確かに遅刻ばかりの部下などクビにしてもいいし、モラル的には話にもならないわけですが、それでもその人をなんとか教育し行動を改善させたい場合は、怒る、注意するという自分の要求に対しての行動ではなく、「どうしたらもっと早く会社に来たくなるか?」という相手のためになることを考えていくのです。

 私の場合は朝に読書会を実施し、面白い本をみんなで読む習慣を組織で作ったりして楽しい朝時間を演出していきました。ドーナツなどをときに提供し、数字も売り上げのことを一切話さないでとにかく本の話だけという会でしたが、その会が楽しいとわかるとみんな参加するようになってきて、自ずと始業時間には全員が揃うようになったのです。

 そこまで気を遣って…と眉間にしわを寄せた方もいらっしゃるかもしれませんが、私は気を遣っていたわけではないのです、ただただ結果を出して、全員が幸せになる組織を作りたかったのです。自分がどう思われたい、どう扱って欲しいなどは関係ないのです。そして事実、人は定着し組織は大きくなっていきました。

好かれる努力をすること

 やはり上司は部下から好かれていないといけないと思います。営業でも嫌いな人からは買いたくありません。継続してファンができる営業マンが一番売れるのです。好かれる方法はまずは相手を受け入れることです。受け入れるためには相手の話を熱心に聴くことです。身体を相手に向けて、相手の目をみて興味津津に相手を話にうなづくこと、そして相手に興味を持って褒めながら相手に質問をするのです。

 人は自分の話を聞いてくれる人、自分に興味をもってくれる人、自分を褒めてくれる人を好きになるのです。これはお客さんや部下に対してだけでなくさまざまな人間関係でも成り立つ法則です。相手にとって居心地のいい空気をつくれる人が人を動かすのです。

 私が在籍していた外資系の会社は、海外支社の業績悪化により唯一業績のよかった日本支社も巻き添えとなり、日本撤退となりました。私はやむなくその状況を受け入れ、大量リストラとなり20代で築きあげてきたキャリアや収入をすべて手放すことになってしまいました。

 しかし、その後独立し、本を書いたり営業コンサルタントとして多くの企業さまの営業育成のお手伝いをさせていただけるようになったのは、あのときがむしゃらになって結果を出すことに翻弄した私があってこそだと思っています。営業も部下指導も普遍的な法則があると確信しています。

和田裕美氏のセミナー
営業マンフェス2015〜1日で売れる営業に変わる〜
【日時】11月21日(土)10:00〜17:00
【会場】ヒューリック ホール(東京浅草橋)
和田 裕美(わだ・ひろみ) 作家・営業コンサルタント
和田 裕美

京都生まれ。
外資系教育会社でのフルコミッション営業で、お客様の98%から契約をいただき世界142カ国中第2位の成績を収め、20代で女性初の支社長となる。
同社日本撤退後は独立し、和田裕美事務所株式会社を設立。営業コンサルタントとして、国内外で研修や講演を展開する。また、累計180万部超のベストセラー作家であり、『人に好かれる話し方』、『世界№2セールスウーマンの「売れる営業」に変わる本』『人生が好転する「新・陽転思考」』等が代表作。最新刊「成約率98%の秘訣」はアマゾンビジネス・セールス部門で1位を獲得した。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。