和田 裕美
作家・営業コンサルタント

 私は25歳ではじめて部下を持ち、それから成功と失敗を繰り返しながら気づけば100人を束ねるマネージャーになっていました。日々さまざまな性格の部下と向き合っていくなかで、かれらが持ついくつかの思考癖により、行動と行動量に圧倒的に差がつくことに気がつきました。それからというもの部下との関わり方や指導方法を、その人の性格に合わせて行なうようになったのです。

売れる営業を目指したいなら「単純思考」

 人の性格は千差万別ですし、考え方もさまざまです。そのなかで思考癖を大きく二つに分けると「単純思考」と「複雑思考」があげられます。単純思考の人は、ちゃんと人の話を聞くとか、先輩の真似をしてみようとか、そういう素直な行動ができる人です。周りの意見にたえず耳を傾けて、言われたことをスルーせず自分なりに受け止めて翌日には実践します。笑顔や発声の練習、スーツの着こなし方、メールの書き方など、お客様に信頼される営業になるポイントを指導すると、きらきらと目を輝かせながら頷き、スポンジのように吸収していきます。こういうタイプの人は結果を出すのがとても早いです。指導する側も教えがいがあるというものです。

 一方、複雑思考の人は物事を多角的に捉えるため、相手の言葉を鵜呑みにせずいったん置いてからじっくり考えるという特徴を持ちます。それゆえ、条件反射的に言葉の「裏」を読もうとします。変に勘ぐったりして、「○○さん、考え過ぎですよ」なんて言われる人はこのタイプかもしれません。

 お客様の本音を“察する”ことができるという点では、優れているといえます。ただ人は「裏」を読もうとした途端に思考が停滞してしまい、次の一歩が踏み出せなくなります。腕組みをして考え込んでばかりで肝心のアクションがないと営業としてはどうでしょう。行動量が減るということは、生産性も下がるということ。成果を出すのに時間がかかりますし、そうこうしているうちに本人が疲弊してしまうことも。モチベーションの維持が大変です。

 売れる営業を目指したいなら、複雑思考より単純思考の方が圧倒的に有利です。行動量を増やすためにも、できる限り物事をシンプルに考える思考へと修正していく必要があります。