私は毎回、こんな風に言っていました。「みなさん、目の前の事実は1つですが、考え方は2つなのです。物事の悪い側面から“不幸のネタ”ばかり探して考えるよりも、よい側面から“幸福のネタ”を探して生きるほうが絶対に幸せになれるのです」

 「だから、うまくいかないことがあっても、失敗をしても、『自分はダメなんだ』とコンプレックスに目を向けて自分を責めないでください。泣いても怒っても現状は同じです。だらだらとずっと文句を言ったり、ぐずぐずと泣き続けても状況は変わりません。誰かのせいにしたり、世間のせいにして自分を情けなく思っても、何も変わらないのです。いや、そうやってマイナスの側面を見れば見るほど、状況は悲惨になってしまいます。だからこそ、確実に幸せになれる考え方を身につけて欲しいのです。それこそが『よかった探し』であり、陽転思考なのです」

 「まずは、失敗から得たことを探してみます。そうすれば、『この方法じゃダメなんだってわかってよかった』とか『ああ、自分の改善点がわかってよかった』と、ハッピーな側面に気付けるようになります。誰だって最初からはうまくできないもの。どこが苦手なのかわかっただけでも、あなたはすごくラッキーなのです」

 このような「考え方」を前もって伝えておくと、これだけのことで、仕事でミスをしたり営業で断られたりした事実があっても、それを「障害」ではなく「ステップ」だと思えるようになります。明らかに、心が強くなって踏ん張れるようになるのです。そして、会社のいいところ、商品のいいところ、上司や同僚のいいところ、そして自分のいいところ(悪い部分があったとしても)に目を向けるようになり、自尊心が上がるのです。

 生きていれば、人生に起こるいろいろな出来事と遭遇します。どんなに有能な人でも、心が弱くてすぐに折れてしまえば、何事も継続できません。継続できない人は、何事も達成できません。達成できない人は、何事も得ることができません。だから、まずは「心」なのです。「考え方」つまりは「陽転思考」なのです。

 失敗しても「これが学べてよかった」と思えるようになったことで、すぐにあきらめて辞めて行く人が少なくなりました。そして自分も、相手がたとえ去っていっても「ああいう人を育ててみる経験ができてよかった」と陽転思考できるようになり、心が穏やかになれたのです。