●目標を与えられるのではなく自律的に目標を設定する

 ウォーターフォール型マネジメントは、外発的な動機付けを基本としています。目標を達成すれば高い評価を与えるので、それに向けてがんばれと動機付けるのです。しかし、スタートアップビジネスでは、共通の目標を上から与えることができません。そこで、現場において一人ひとりが自律的に目標を設定して、行動することを促す必要があります。そのため、個々人に応じた内発的な動機付けが求められるのです。

 ウォーターフォール型マネジメントの大命題は目標を達成することにあるため、マネジメントの基本は達成度を管理することにあります。売り上げや利益といった結果指標だけでなく、それに至る中間指標をKPIとして設定して進捗状況を管理します。それらは、結果に至るプロセスを管理するものであり、個々人の内面的な違いには目が向けられません。

 一方、アジャイル型マネジメントにおいては、個々人に応じたマネジメントが不可欠となります。何に対して意欲を高めるかといった内的動機は、それぞれ異なります。また、モチベーション向上とともに発揮される強みも一人ひとり違います。そのため、個々人のパフォーマンスを最大限に引き出すためには、個々人ごとの内的動機や強みを十分に発揮させるマネジメント(=ピープルマネジメント)が必要とされるのです。つまり、個に着目したマネジメントが強く求められるようになります。

 以上、ウォーターフォール型マネジメントとアジャイル型マネジメントを対比させて述べてきましたが、ウォーターフォール型マネジメントにアジャイルな要素が全く必要でないという訳ではありません。レガシービジネスにおいても、変化のサイクルは短縮化し、顧客のニーズは多様化し、技術の進化による影響も小さくありません。したがって、ウォーターフォール型マネジメントにアジャイル型マネジメントの要素を組み込む工夫が必要とされます。そのためには、後の回で述べる上司と部下の1 on 1の対話のデザインが重要となるのです。

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松丘 啓司(まつおか・けいじ) エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役
松丘 啓司

 1986年東京大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナーを経て、2005年に企業の人材・組織モデル革新を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立。同社ではパフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョンなどの領域を中心にサービスを提供。主な著書として、『人事評価はもういらない』『論理思考は万能ではない』『アイデアが湧きだすコミュニケーション』『ストーリーで学ぶ 営業の極意』『提案営業の進め方』『組織営業力』などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。