A(Ambiguity:曖昧さ)とは、物事の意味合いやトレンドが不明瞭であることを意味します。つまり、因果関係を明確に説明することが難しくなっているのです。例えば、SNSツールのLINEは空前のヒットとなり、その要因としてスタンプがうけたとか、グループ機能がよかったとか説明されますが、それらはどれも後付けの理由です。LINEのずっと前から電子メールは存在したし、リアルタイムのチャットツールもたくさんありました。論理的に考えると、既に競合サービスがたくさんあるから勝算が少ないと判断されてしまったでしょう。

 論理的な分析ばかりではなく、こんなサービスがあったら便利そうだとか、こんなサービスが欲しいとかいった、どちらかというと感覚的な理由からでも、小さく始めてみて、ユーザーの反応を機敏に取り入れながら育てていくことが、逆にビジネスを成功させるための方法論になりつつあります。また、そのようなアプローチを可能にするためには、現場においてトライアンドエラーが奨励される環境が必要とされるのです。

 これまでの成果主義人事をベースとした硬直的なマネジメントのままで、VUCAの時代に立ち向かうのは困難です。次回からはその理由をより詳細に解説したいと思います。

松丘 啓司(まつおか・けいじ) エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役
松丘 啓司

 1986年東京大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナーを経て、2005年に企業の人材・組織モデル革新を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立。同社ではパフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョンなどの領域を中心にサービスを提供。主な著書として、『人事評価はもういらない』『論理思考は万能ではない』『アイデアが湧きだすコミュニケーション』『ストーリーで学ぶ 営業の極意』『提案営業の進め方』『組織営業力』などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。