現在の成果主義が導入され始めたのは、90年代になってバブル経済が崩壊して以後です。日本経済は極めて低成長の時代に入りました。時を同じくして、グローバル経済が進展し始めました。資本が国境を越えて自由に移動するようになると、年功主義に基づいた日本企業の高固定費構造が大きな足かせとなりました。そこで導入されたのが成果主義人事です。その目的は以下の2つに集約されます。

①年功主義に起因する固定費構造を解消すること
②低成長経済のなかでも売り上げを維持・伸長させるために
 強い動機付けを働かせること

 それらの目的を実現するために、目標管理制度と成果主義による評価制度が導入されました。つまり成果主義人事制度は、企業の業績管理システムを補完する位置づけにあったといえます。

 90年代の半ば以降に日本企業の多くが類似の成果主義人事を導入してから、およそ20年が経過しようとしています。その間に極端な成果主義の弊害を是正するための改良が加えられてきましたが、根本的な思想は大きく変わっていません。

 これまでの成果主義人事の成果を総括するなら、①の高固定費構造の見直しについては、一定の成果をあげたといえるのではないかと考えられます。デフレ経済下で所得が伸びない状況を作ってしまったことがよかったかどうかはともかくとして、人件費構造はこの20年で随分と変わりました。②に関して、日本企業の国内売り上げは全体として伸びていません。この間、総人口は減少に転じ、需要自体が拡大していないので当然のことといえますが、このまま同じやり方を続けても一層の成長は期待できないでしょう。

 それに加えて、企業を取り巻く環境は急速に、大きく変化してきています。やや大げさな言い方をすると、成果主義人事は20年を経て、一定の歴史的使命を終えたといえるのではないかと考えています。

VUCA時代におけるマネジメントの変化

 成果主義人事は、組織マネジメントの方法論と捉えることができます。ところが、その根本にあるマネジメントのあり方自体が環境変化とともに大きく変化しています。多くのアメリカ企業が年次評価(レーティング)を廃止して、新しい目標管理のプロセス(英語ではパフォーマンスマネジメントといいます)を導入していますが、その背景には企業を取り巻く大きな環境変化があるのです。その環境変化はアメリカ固有の問題ではなく、グローバルで共通したものです。

 その環境変化を表すキーワードが、いわゆる「VUCA」です。VUCAの時代において、企業がパフォーマンスを向上させるためには、これまでとは異なるマネジメントスタイルが求められます。以下では、VUCAが求める、4つのマネジメント変革のポイントを解説しましょう。