失敗から学ぶ

 実験と検証による経験学習から有意義な成果を得るためには、失敗から学ぶことが必要です。仮説をもとに行動した結果、うまくいくことも、うまくいかないこともありますが、学習効果が大きいのはうまくいかなかったケースです。なぜなら、うまくいかなかったケースでは仮説と結果の間のギャップから、原因の分析が可能になるためです。

 失敗からの学習が効果的に行われるためには、失敗が重要な学習機会であるという認識が組織内で共有されていることが不可欠です。しかし、多くの評価制度においては、失敗は本人の改善点として見なされることから、失敗しないような保守的な目標を立てることへと意識が向きがちになってしまいます。

 これからのパフォーマンスマネジメントでは、個人の前向きなチャレンジが奨励されなければなりません。そのため、個人をランクづけすることによって保守的な意識を高め、成長意欲を削いでしまっている評価制度の方にこそ改善が求められています。

リフレクションを促す

 経験から効果的に学ぶためには、本人が自ら経験を振り返り、気づきを得るためのリフレクション(内省)が重要です。実験をやりっぱなしにするのではなく、自分自身の行動の結果から得られた教訓やヒントを次のアクションに活かすことによって、次第に成功の方程式が確立されていきます。

 そのためには、自分の判断や行動は自分でコントロールするという主体性が必要になります。ところが、多くの評価制度において、評価の基準は外発的なものが中心になっています。たとえば、上から与えられるミッションや業績目標、業績目標を達成するための管理指標など、評価の基準が外から与えられ、その基準に従って行動することが求められています。それによって、受け身の姿勢が強化されてしまいます。

 これからのパフォーマンスマネジメントにおいては、個人がリフレクションを通じて主体的に学習する力を高めるところに焦点が当てられなければなりません。上司からのフィードバックも、外発的な基準に照らして改善点を指摘するのではなく、本人の自律的な気づきを促すことをねらい、行われる必要があります。

チームをつくる

 実験と検証からの学習は、個々人が単独で行うよりも、多様なチームメンバーが協働(コラボレーション)しながら実施する方が効果的です。異なる価値観や専門性に基づくものの見方や意見を出し合った方が、誤った判断を避けられたり、新たな発想が生まれたりする可能性が高まるからです。

 そのためには、メンバーが相互に貢献し合いながら成果を生み出すという関係性(チーム)をつくることが必要です。ところが、個々人をランクづけするような評価は、組織内に競争状態を生み出し、メンバー相互間の連携を阻害してしまいます。

 これからのパフォーマンスマネジメントは、競争よりも共創を重視するものでなければなりません。それによって、互いに言いたいことを言い合えるための心理的安全や、相互にフィードバックし合う組織カルチャーが確立される必要があります。