デジタル化やグローバル化が急速に進展する環境の下では、現場における機敏な業務運営が必要とされています。また、異なる専門性や価値観を持った人材の活躍を促し、かつコラボレーションを活性化するためには、これまでとは違ったマネジメントのあり方が求められるのです。アメリカ企業におけるパフォーマンスマネジメント変革の取り組みは、生き残りとさらなる成長に向けた組織戦略であるといっても過言ではありません。

 翻って日本企業を見ると、従来の目標管理・評価制度の枠組みから脱して、パフォーマンスマネジメントを刷新しようとする動きは今のところほとんど見られません。この点について、日本企業はもっと危機感を持つ必要があると思います。

成果主義人事の制度疲労

 グローバルトレンドにかかわらず、日本企業におけるパフォーマンスマネジメントが十分に機能してさえいれば、さほど問題はありません。しかし、目標管理・評価制度の運用がうまくいっていると耳にすることは、めったにないのが実情です。その結果、目標管理・評価制度が社員の動機づけや成長につながらず、パフォーマンスの向上に役立っているかは甚だ疑問があります。

 筆者が最近実施した、目標管理・評価制度の問題点に関する簡易調査によると、多くの企業がその点に問題を抱えています。回答者の約6割が「評価者による評価結果が上振れする傾向にある」と答えています。また、約5割が「目標管理の面談が実施されなかったり、形式的になっていたりする」「評価面談では業績評価の理由の説明や改善点の指摘が大部分を占める」と回答しています。

 評価結果が上振れするということは、上司が部下に対して率直なフィードバックを伝えられていないことを意味します。また、目標管理の面談はパフォーマンスマネジメントの根幹にあるため、それがきちんと行われていなければ、制度が形骸化しているのと同じです。さらに、評価面談が評価結果の理由説明や改善点の指摘ばかりだと、部下の前向きな意欲は高められないでしょう。

 もちろん、企業の中にはマネジャー教育を徹底することで、評価結果の上振れを是正したり、きちんと面談を行う習慣をつけたり、評価面談で今後の開発テーマを話し合ったりするようになった会社もあります。そのような取り組みを否定するつもりはありませんが、マネジャーにばかり問題があるとも言い切れません。

 社員をA・B・Cとランクづけできるのは、そこに画一的な尺度があるからですが、多様化する人材を横並びで比較すること自体が難しくなってきています。そのため、評価結果が上振れしないように分布させることが、果たしてパフォーマンスの向上につながるのかという根本的な疑問があります。また、評価結果をフィードバックすることを面談の目的としている限り、前向きな話題に焦点を当てることが難しいという面も否めません。そのことが面談を形骸化させている可能性も大いに考えられます。

 現在の目標管理・評価制度が前提として想定しているマネジメントのあり方自体に変革が求められています。成果主義人事の導入から20年が経った今、根本の考え方からあらためて総点検をしてみる時期にあるのではないでしょうか?