②ピープルマネジメント力の開発

 年次評価の廃止は、廃止することが目的ではなく、現場における日常的な目標設定とフィードバックを繰り返すマネジメントを定着させることにねらいがあります。その際のマネジメントにおいては、個々人の意欲と強みを引き出し、リフレクション(内省)を促すことによって成長を支援するピープルマネジメントが求められます。

 しかし、多くの企業において、業務管理はできてもピープルマネジメントの経験が不足しているマネジャーが多くを占めるのが実態です。そのため、十分なトレーニングを行わずに制度を導入すると、かえって社員の不満を高めてしまう結果になりかねません。

 ピープルマネジメントのスキルは、一度研修を受けただけで高まるものではなく、研修と実践を何度も繰り返す中で、マネジャー自身が経験学習していくプロセスが不可欠です。そのような繰り返しによって、ピープルマネジャーが育っていくのには通常、1〜2年の期間がかかります。習熟期間には個人差があり、どれだけやっても変わらない人も存在するため、この過程を観察することによって、ピープルマネジャーに適するかどうかのアセスメントを行うことも必要です。

 次回(来月)は事例紹介として、ギャップジャパンへのインタビュー記事を特別企画として掲載する予定です。

松丘啓司氏の新刊
『人事評価はもういらない‐成果主義人事の限界』
ファーストプレス、2016年10月
松丘 啓司(まつおか・けいじ) エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役
松丘 啓司

 1986年東京大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナーを経て、2005年に企業の人材・組織モデル革新を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立。同社ではパフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョンなどの領域を中心にサービスを提供。主な著書として、『人事評価はもういらない』『論理思考は万能ではない』『アイデアが湧きだすコミュニケーション』『ストーリーで学ぶ 営業の極意』『提案営業の進め方』『組織営業力』などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。