Go/No-Goの判断も本人の意志で

 従来の目標管理においては、期初に立てた目標の達成率で評価がなされるため、期中において目標を続けるか(Go)、止めるか(No-Go)の判断がなされることは多くありませんでした。業績目標が中心であり、中途半端な成果しか出ていなくても達成率が低く評価されるだけだったからです。

 しかし、チャレンジを目標とするパフォーマンスマネジメントにおいてはGo/No-Goの判断が重要になります。本人がこの目標を追い続けたいと思っていても、チーム全体の視点からは目標を変えた方がよいと考えられるようなケースも多々、起こるでしょう。

 Go/No-Goの判断はあくまでも本人の意志で行われる必要があります。さもなければ、結局はマネジャーの命令に従って動くことになってしまうからです。そのため、その話し合いはじっくりと行われなければなりません。「私はこう考えるけれど、あなたはどう思う?」と質問して、本人に考えさせることも必要です。

 最終的に「あと1ヵ月だけ続けてみよう」とか「ここで目標を変えよう」といった結論が出たならば、マネジャーも本人もその結論にコミットすることが求められます。そしてまた、積極的な実験を繰り返すのです。

キャリアビジョンをイメージさせる

 1 on 1の対話においては、目の前の目標設定やリアルタイムのフィードバックだけではなく、部下の中長期的なキャリアビジョンについても話し合われる必要があります。対話の目的は部下の成長にあるため、マネジャーは本人が将来、どのようになっていきたいかを理解し、その実現を支援していかなければならないからです。

 キャリアビジョンに関する対話は、それほど頻繁に行われる必要はありませんが、意識的にゆったりとした時間をとって、語り合いの場を持つことが求められます。本人自身も明確に将来のキャリアビジョンをイメージできていないことも少なくないでしょう。そのような場合は、「どのような時にやりがいを感じますか?」といった本人の内面を理解する質問から始める必要があります。

 従来のパフォーマンスマネジメントにおいては、成長するのも貢献するのも本人の責任であり、マネジャーはその結果を評価する立ち位置で捉えられることも少なくなかったと思います。しかし、これからのパフォーマンスマネジメントにおいては、評価ではなく部下の成長とパフォーマンス向上を支援することがマネジャーの役割となるのです。

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『人事評価はもういらない‐成果主義人事の限界』
ファーストプレス、2016年10月
松丘 啓司(まつおか・けいじ) エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役
松丘 啓司

 1986年東京大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナーを経て、2005年に企業の人材・組織モデル革新を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立。同社ではパフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョンなどの領域を中心にサービスを提供。主な著書として、『人事評価はもういらない』『論理思考は万能ではない』『アイデアが湧きだすコミュニケーション』『ストーリーで学ぶ 営業の極意』『提案営業の進め方』『組織営業力』などがある。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。