前項のとおり、組織パフォーマンスの変化は、メンバーのキャリア意識醸成、モチベーション向上などのように知識習得を超えた、より大きな文脈での目的や、組織個別の目的が明確に意識されていることと関連が見られました。とすると、通信教育を用いる目的が明らかであれば、ゴールと何をすればよいか=効果の基準も明確になり、効果が可視化しやすくなるのではないでしょうか。

 効果が分かりづらいという課題は、通信教育のみならず人材育成全般においてもよく話されています。例えば、通信教育に限らず様々な教育の目的と手段を一同に描き出して、教育目的と手段がうまく対応しているか、ヌケ・モレ・ダブリはないか、会社や団体全体の目的と教育目的の対応はどうかなどを確認してみることで、目的と手段、効果の連関の中で手を打つべき箇所が明らかになるかもしれません。

まとめ

 以上、4回にわたり人材育成手段、特に通信教育に焦点を当てた調査の結果をご報告してまいりました。

 通信教育をはじめ、eラーニングや公開セミナー、集合研修、組織内外での研究会など、人材育成で用いられるどのような手段も、それぞれの特徴・長所を持つことを踏まえて、特に通信教育に焦点を当ててお話ししました。また、通信教育の各コースが単体で果たせる役割には限りがありますが、「メンバーのキャリア意識を醸成する」「メンバーのモチベーションを向上させる」のようなより大きな目的のために用いる使い方もあり、組織のパフォーマンス向上に役立つことなどもこの第4回でご紹介したとおりです。

 “人材育成”という大きな概念のままだと、あまりにも漠然としてどこから取り掛かればよいのか、何をすればよいのか途方にくれてしまうこともあるかもしれません。しかしながら、人材育成場面で便利に使えるさまざまなツールがあることや、各ツールの特徴と自社・団体の特徴を考慮しながら育成目的から手段を選んでいけば形になることなどをイメージしていただけたならば幸いです。

 なお、この記事でお伝えしきれなかった調査結果を含む調査報告書も無償でご提供しております。ご興味を持たれた方はリンク先からご請求ください。

末廣 純子(すえひろ・じゅんこ) 学校法人産業能率大学総合研究所 マーケティングセンター プロジェクトリーダー
末廣 純子 早稲田大学第一文学部卒、早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻修了。臨床心理士。認知発達療法の心理相談員および児童相談所の心理相談員を経て、2000年4月学校法人産業能率大学総合研究所に入職。研究スタッフとして人材育成に関する各種調査・分析、マーケティング、プロモーション等を手がける。2009年4月より現職。携わった主な調査・報告は「日本企業の人材戦略と成果主義の行方」調査、「我が国ITサービス市場に関するスキル動向等調査研究報告書」、「企業・団体内教育における通信教育の活用実態」調査など。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。