(4)業績と教育費の関係

 ちなみに、こうした教育手段を用いるための“教育費”の状況はどうなっているのでしょうか。

 今回の調査では、過去3年間、上昇傾向なのか、下降傾向なのか、横ばい傾向なのか、一定傾向なしで変動しているのかを尋ねました。売上高や経常利益の状況とクロス集計した結果を図でご覧ください。

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 教育費の過去3カ年の変動傾向は、売上高別に見た場合も、経常利益別に見た場合も、おおむね同じでした。これらの業績指標が上昇傾向にあるほど、教育費も上昇傾向にあるようです。

 特筆すべきは、業績指標が「一定傾向なく変動している」場合、教育費も同様に「一定傾向なく変動している」が多いかと思いきやそうではなく、「上昇傾向」との回答が4割超に上る点、および、業績が「下降傾向」でも教育費は「上昇傾向」との回答も2割ほど見られる点です。

 業績がダイナミックに動く状況にあるからこそ教育に力を入れているのか、教育に力を入れているからこそ業績もダイナミックに上下動しているのかは、残念ながらこのデータからだけでは判断できません。ただ、昔から「業績が悪化すると真っ先に削減されるのが教育費」といわれることについて、すべての企業にあてはまるわけでもないことが分かる結果となりました。

 今回は、現在の通信教育の位置づけを様々な角度からご覧いただきました。次回からいよいよ、通信教育の活用実態について解説していきたいと思います。

末廣 純子(すえひろ・じゅんこ) 学校法人産業能率大学総合研究所 マーケティングセンター プロジェクトリーダー
末廣 純子 早稲田大学第一文学部卒、早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻修了。臨床心理士。認知発達療法の心理相談員および児童相談所の心理相談員を経て、2000年4月学校法人産業能率大学総合研究所に入職。研究スタッフとして人材育成に関する各種調査・分析、マーケティング、プロモーション等を手がける。2009年4月より現職。携わった主な調査・報告は「日本企業の人材戦略と成果主義の行方」調査、「我が国ITサービス市場に関するスキル動向等調査研究報告書」、「企業・団体内教育における通信教育の活用実態」調査など。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。