本稿では、「企業変化に適応する人財育成法~組織で育成する経験学習のノウハウと実施事例」と題し、組織の制約と環境変化に直面する昨今においては、経験学習こそが最も効果を出す研修方法であるとお伝えしてきた。第5回目の今回も前回から引き続き事例編をお届けする。今回は、「1 on 1®の導入事例~経験学習を通じて成果を出す」として、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(略称:CTC)の2名の管理者に登場いただき、1 on 1®による経験学習を通じた研修の効果と気づきの声をお届けする。

【1 on 1®による経験学習とは】

 受講者が研修機会に何を経験するかで研修の価値が決まる。つまり、何を経験するかで“学び”が継続して実践に移されるのかが決まるのだ。それを可能にするためには、集合研修に加え受講者個別に実務上の問題解決に取り組ませ、それを支援する機会を与え、コミットメント(=実行の確約)を引き出す公式のプロセスが必要だ。公式のプロセスには上司が同席しなくてはならない。受講者、その上司、講師の三者による1対1の面談を通じて、実務で直面する問題解決を経験させる機会、それが1 on 1®による経験学習なのだ。

【事例紹介】

 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社ではプロジェクトマネジャー(PM)の育成に対して、早くから経験学習による問題解決力の強化を重視している。特に、プロジェクト開始後に直面する問題解決の巧拙がプロジェクトの品質を大きく左右するとの考え方が強く、集合研修後に、受講者に優先的に解決する問題を特定させ、上司との合意形成を図り、研修の準備を行う。ここから上司も研修に組み込まれ、研修への参画を通じて部下育成を図る仕組みだ。以下が前回も述べた研修の内容概略である。許可を得て掲載する。

【プロジェクト問題解決力強化プログラム】

徹底した個別の実務サポートによる、成果に直結するプロジェクト環境での問題解決力の錬磨
 プロジェクトの成否は周到な計画を前提とすることはもちろんですが、その計画を以てしても、プロジェクトキックオフ後の実行段階では様々な問題が発生し、その対処の仕方によって結果が変わります。その意味でPMの問題解決力を向上させなければならないことは論を待ちません。このプログラムは、プロジェクトの実行段階における問題解決力の強化に焦点を当て、実行段階で陥りやすい問題を紹介し、その問題を回避する方法と、発生した場合の対応の仕方について集合研修と受講者個別の実務支援、そして最終的には受講者間での学びと気づきの共有による部門での学びの展開を目指します。研修の成果は集合研修と上司を巻き込んでの個別サポート「1 on 1 (ワンオンワン)」を融合した、徹底した実務本位の構成からもたらされます。

プログラム概要
▼達成目標:プロジェクト実行段階での以下の領域の問題解決力を、受講者個別の状況を踏まえ組織の支援を得て強化する
●プロジェクトキックオフ
●リスクマネジメント
●進捗管理とレビュー
●変更要求のコントロール
●リーダーシップを打ち出す
●チームパフォーマンスを引き出す
●プロジェクトの終結

▼実施プロセス

実施プロセス
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