これまで本稿では、「環境変化に適応する人財育成法~組織で育成する経験学習のノウハウと実施事例」と題して、環境変化によって組織の制約が顕在化し人財育成が停滞する今日の状況においては、経験学習こそが最も効果を出す研修方法であるとお伝えしてきた。

 そして、前回は「成果を出す経験学習~1 on 1(R)とは」と題し、注目を集める経験学習である「1 on 1(ワンオンワン)研修システム」をお伝えした。

 今回から2回にわたりいよいよ事例編に入る。第4回目の今回は、「1 on 1®の導入事例~研修の実施プロセスに組織はどう関わるべきか」をお伝えする。

 まず、1 on 1とはどのような特徴を持つ研修形態なのかを、あらためて簡単に振り返ってみよう。

【1 on 1®とは】

 研修の価値は受講者が受け取る“経験の質”で決まる。つまり、“学び”を継続して実践するかどうかは受講者が研修の場で何を、どのレベルで経験するかで決まるのだ。経験の質を高めるためには、集合研修に加え受講者を個別に実務上の問題解決に取り組ませ、それを支援し促進させる機会を作り、コミットメント(=実行の確約)を引き出す公式のプロセスが必要だ。

 公式のプロセスには上司が関与しなくてはならない。受講者、その上司、講師の三者による1対1の面談を通じて、受講者が実務で直面する問題解決を経験させる機会。それが1 on 1による経験学習なのだ。

【事例解説】

 ここでは伊藤忠テクノソリューションズ株式会社様(略称:CTC)の事例をお伝えする。

 同社はITのトータルソリューションプロバイダーとして、多くの顧客企業に対して新たなビジネスの創出や、それを実現するITシステムの全工程における「最適解」を提供することをビジネスとしている。

 筆者は5年前から同社でのプロジェクトマネジャー(PM)育成の選抜研修を実施支援しているが、受講者が、主にプロジェクトベースで受託する案件の実行場面で直面する問題解決力を高めることで、PMの育成につなげている。