【合同セッションの開催】

 集合研修に参加し、1 on 1による個別支援を受けた受講者と上司が集い、合同セッションを開催する。ここでは研修を振り返り、学びを共有し、相互にフィードバックを行い、今後のToDoリストを創出する。受講者と上司の5組単位で開催する。時間は4時間が標準である。

 このように、集合研修のみではなく、個別の支援と組織の関与を含めることで受講者の経験学習は進展する。必ず、受講者から前向きな言葉が発せられる。そして成果が報告される。成果のなかには、「受け入れられるはずがない」と上司が反対した顧客提案の内容について、受講者が学びを実践すると宣言し、行動することで顧客に受け入れられた事例は多い。学びを実践すると市場が反応するのだ。1 on 1による経験学習を通じて成果が得られた瞬間を目撃することは多い。

 冒頭で述べた成果と成長を促す研修企画の4つの視点に照らしての期待効果と、1 on 1を含む研修の雰囲気がお分かりいただけたであろうか。次回では1 on 1のプロセスに加えて、今回詳しく伝えられなかった文書の流れと、事務局機能を含めたシステムとしての1 on 1を、事例を通じてお伝えする。

 企業が置かれている手薄な部下育成の環境において、研修を利用しながら受講者と上司が接点を増やし、実務上の成果と成長を加速させるシステムが1 on 1である。受講者も上司も、研修に投入する時間は決して少なくはないが、扱うのは実務である。研修のための研修ではなく、研修はすべて実務の前進であることを逐一認識させるよう、講師は働きかける。そのことが、研修が成果を生み出し、成長を促す真の機会へと導くのだ。

 さあ、次回はいよいよ、1 on 1を導入した企業の具体的な事例と成果を紹介する。ぜひとも期待されたい。

辻本 光邦(つじもと・みつくに) 株式会社インサイトパワーズ 代表取締役
辻本 光邦

 2010年12月、23年におよぶ企業研修講師と組織マネジメントの経験を踏まえ株式会社インサイトパワーズを設立。以来10社を超える大企業からの全社必須研修、次世代リーダー育成の選抜研修を継続的に受託し、顧客の人財育成政策に食い込んでいる。2013年商標登録した1on1®(ワンオンワン)個別支援サービスを精力的に展開し、受講者一人ひとりに対する徹底した実務支援に本気で取り組み、顕著な実績を上げている。
 東京外大卒。富士通での海外ビジネスのプロジェクトマネジメント経て、米国コンサルティング会社 ケプナー・トリゴー社で延べ累計で1万5千人の受講者、1200回以上のマネジメント研修を実施。約400名の企業内研修講師育成の経験も持つ。同社で日本支社長、パートナー、アジア大洋州ITビジネス総責任者としてマネジメントを経験。その後、顧客企業であった日本マイクロソフトでの執行役員エンタープライズサービス本部長を経て独立。趣味はトランペット。設立34年の俊友会管弦楽団の団長をつとめる。
●インサイトパワーズ
http://www.insightpowers.co.jp

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。