本稿第1回で述べたが、私が在籍した日本マイクロソフトでは上司と部下が毎月1度個別に面談する1 on 1が制度化されており、これは優れた育成システムであるとの認識を強く持っていた。上司と部下は業務上の関心事を共有する。これにより上司は部下の状況を把握し、仕事の配分や指導に役立てることができる。

 「当社にもそのような機会はありますよ」という読者諸氏は多いかもしれないが、毎月の個別面談を行う制度があること自体が重要なのである。上司は部下の数だけ個別面談を行うわけだからそれは負荷がかかる。しかし、部下の成長にとっての制度化された1 on 1は、上司にこそ貴重な時間となるのだ。

 私は1 on 1のアイデアを企業研修、特に選抜研修に利用し、効果を出せるのではと考えた。弊社の集合研修のテーマは業務上の問題解決力強化、問題発見力強化、技術者の営業力強化、プロジェクト管理力強化、リスク管理力強化、戦略思考力強化、仮説検証力強化、リーダーシップ強化など多岐にわたるが、これらの集合研修を行った後に個別の1 on 1を組み込むことが可能で、それにより受講者個別の目標を達成させ、成果を生み出している。その可能性は大きい。

【1 on 1®研修システム】

 では1 on 1を含む研修はどのようなプロセスで行われるのか。その進め方を見てみよう。

0. 受講者は集合研修の事前準備を行う。
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1. 集合研修を受講する。
  研修の場で現状の振り返りと実務適用を実施する。
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2. 受講者と上司は1 on 1の準備を行う。
  1 on 1までの間に受講者は実務上の問題解決に取り組む。
  上司は受講者の実務適用を支援する。
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3. 受講者、上司、講師の三者で1 on 1を行う。基本は60分。
  進め方は次の図(=1 on 1の進め方)の通りである。
  1 on 1のアウトプットは次回1 on 1へのToDoリストになる。

  ↓
4. 1 on 1によるToDoリストの作成⇒
  上司の支援によるToDoの実践⇒
  成果物作成のサイクルを繰り返す。
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5. 合同セッションを開催し、研修の振り返りと学びの共有を行い、
  相互にフィードバックを行い今後のToDo創出に役立てる。