では研修の企画、組織をけん引してほしい選抜者への研修を企画する際に、どのような目標を持つべきかという根本の議論に移りたい。私は間違いなく以下の4つを挙げる。
●実務的な企画であること
●参加動機が継続すること
●組織が関与すること
●成果を追求すること
である。常にこの4つの目標において企画を考えるのである。

1. 実務的企画
研修は実務における思考と行動の変化=成長を狙うものでなくてはならない。実務と深く結びついた企画内容であるほど、受講者は積極的に参加する。

2. 動機の継続
研修への参加動機を継続するには一人では限界がある。他の参加者との継続的な交流機会があり、“あいつも頑張っているなら自分も”と、成長を促進させ動機が続く、研修の実施プロセスが必要である。

3. 組織の関与
何らかの形で部課長を関与させることである。特に直属の上司が研修に関与することで、受講者の成長は明らかに変わってくる。上司の後押しが必要なのだ。また、常に育成への関心を示さなくてはならないのが部長職だ。関与させるその効果は絶大だ。

4. 成果の追求
受講者一人ひとりに、あるべき姿の目標を設定させなくてはならない。そして、現状とのギャップを認識させ、そのために何をすべきかの課題設定を行う問題解決アプローチが、企画には絶対に必要だ。成果を追求し、結果を求める研修であるからこそ、受講者は真剣に取り組むのである。

 他流試合はこの4つの目標から見ても受講者の成長には限定的な効果しかないことが分かる。意識を変えてもそれは一過性である。そもそも実務的な成果という点からは期待薄だ。なぜなら、具体的な成果を獲得のための行動デザインと組織の関与が示されないからだ。

 貴社の選抜研修はこの4つの目標に照らして企画されているだろうか。

 私は長年の経験から、選抜研修を成功させるには何より企画が大切であること、そして企画にはこの4つの目標が何よりも大切となることを痛感している。そして、この目標にそった企画こそが、組織の制約における人財ギャップに立ち向かう唯一の研修インフラになると確信する。

 これらの目標を踏まえた研修企画として、第3回では「成果を出す経験学習~1on1(R)とは」についてお伝えしたい。徐々に話は具体的になってくる。ぜひ期待されたい。

辻本 光邦(つじもと・みつくに) 株式会社インサイトパワーズ 代表取締役
辻本 光邦

 2010年12月、23年におよぶ企業研修講師と組織マネジメントの経験を踏まえ株式会社インサイトパワーズを設立。以来10社を超える大企業からの全社必須研修、次世代リーダー育成の選抜研修を継続的に受託し、顧客の人財育成政策に食い込んでいる。2013年商標登録した1on1®(ワンオンワン)個別支援サービスを精力的に展開し、受講者一人ひとりに対する徹底した実務支援に本気で取り組み、顕著な実績を上げている。
 東京外大卒。富士通での海外ビジネスのプロジェクトマネジメント経て、米国コンサルティング会社 ケプナー・トリゴー社で延べ累計で1万5千人の受講者、1200回以上のマネジメント研修を実施。約400名の企業内研修講師育成の経験も持つ。同社で日本支社長、パートナー、アジア大洋州ITビジネス総責任者としてマネジメントを経験。その後、顧客企業であった日本マイクロソフトでの執行役員エンタープライズサービス本部長を経て独立。趣味はトランペット。設立34年の俊友会管弦楽団の団長をつとめる。
●インサイトパワーズ
http://www.insightpowers.co.jp

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。